清酒の製造免許には、原則として、免許を受けた後1年間の製造見込数量が60キロリットル以上であることを求める「最低製造数量基準」があります。60キロリットルは一升瓶に換算すると約3万3,333本です。新しく酒蔵を立ち上げ、海外向けの高付加価値商品を少量から製造したい事業者にとって、この数量は大きな参入障壁になります。
そこで設けられたのが「輸出用清酒製造免許(海外へ輸出する清酒に限って製造できる酒類製造免許)」です。輸出する清酒に限って、清酒の最低製造数量基準である60キロリットルが適用されません。そのため、年間5キロリットル、10キロリットル、20キロリットルといった計画でも、数量だけを理由に申請できないわけではありません。
ただし、「60キロリットルを造らなくてよい」という一点だけで免許が取れる制度ではありません。申請者の人的要件、製造場の場所、経営の安定性、醸造技術、設備、原料、品質管理、輸出経験、海外の取引先などは具体的に審査されます。また、この免許で製造した清酒は輸出向けに限られ、国内向け商品として自由に販売することはできません。
この記事では、60キロリットル基準が外れることの正確な意味、数量計画の作り方、免許申請で確認される要件、少量生産の収支、輸出先の示し方、国内販売との関係、免許取得後の管理までを具体的に解説します。
そもそも清酒の「60キロリットル基準」とは
酒類を製造するには、酒類の品目ごと、製造場ごとに、その製造場の所在地を所轄する税務署長から製造免許を受ける必要があります。一般的な清酒製造免許では、免許後1年間の製造見込数量が60キロリットル以上であることが最低製造数量基準とされています。
60キロリットルは6万リットルです。容量別に単純換算すると、次の規模になります。
| 容器 | 60klを容器本数へ換算した目安 |
|---|---|
| 1.8L(一升瓶) | 約33,333本 |
| 720ml | 約83,333本 |
| 300ml | 200,000本 |
この本数は、実際の製造では製成数量、貯蔵、欠減、商品設計などを考慮する必要があるため、販売可能本数と完全に一致するわけではありません。それでも、新規参入者にとって60キロリットルが相当な事業規模であることは分かります。
最低製造数量基準は、単に「大きな設備を持っているか」を測る基準ではありません。申請時には、免許後1年間にどれだけ製造する計画かを示し、その数量が法定基準を満たすかが確認されます。従来、国内販売を前提とした清酒製造へ新規参入する場合、優れた商品構想があっても、最初の1年間から60キロリットルを製造・販売する見込みを合理的に示せなければ、この基準が問題になりました。
輸出用清酒製造免許では60kl未満でも申請できる
輸出用清酒製造免許では、輸出用に限って清酒の最低製造数量基準が適用されません。また、通常の酒類製造免許で確認される需給調整要件も適用除外とされています。
これにより、たとえば次のような事業構想でも申請を検討できます。
- 年間5klから始め、海外の飲食店や専門店へ限定流通させる
- 年間10klの高価格帯商品を製造し、海外の富裕層市場へ販売する
- 奈良県産米など地域の原料と物語性を生かした商品を少量製造する
- 海外の輸入者と共同で現地市場向けの味・容量・ラベルを設計する
- 複数年をかけて輸出国と取引先を増やし、段階的に製造量を伸ばす
重要なのは、最低数量が「ゼロ」になったのではなく、法定の一律基準が適用されないという点です。申請書には、初年度とその後の製造数量、輸出数量、在庫、販売単価、売上、原価などを記載し、事業として成立する計画を説明します。
年間1,000リットルでも形式上は60キロリットル未満ですが、設備投資、技術者の人件費、原料、容器、物流、品質管理、申告実務を含めて経営が成立するのかは別問題です。数量が小さいほど、1本当たりの固定費負担が大きくなるため、少量生産の理由と採算性を具体的に示す必要があります。
「数量特例」と「免許要件の緩和」を混同しない
輸出用清酒製造免許で外れるのは、主に最低製造数量基準と需給調整要件です。それ以外の要件まで免除されるわけではありません。
| 確認項目 | 60kl未満の計画でも必要な説明 |
|---|---|
| 人的要件 | 過去の免許取消し、税の滞納処分、刑罰等に関する要件 |
| 場所的要件 | 製造場の所在地、他の製造場との関係、法令上の問題の有無 |
| 経営基礎要件 | 資金、財務状態、事業経験、原料調達、継続的な経営可能性 |
| 技術的要件 | 醸造・衛生の知識、製造責任者の経験、品質管理、事故時の対応 |
| 設備要件 | 製造・貯蔵・容器詰めに必要な設備、能力、配置、関係法令への適合 |
| 輸出に関する要件 | 食品等の輸出経験と、海外の取引先等の輸出先の確保 |
「小規模な製造場だから審査も簡単になる」「外部の蔵へすべて委託すれば自社の製造免許が取れる」「海外で売りたいという希望があれば輸出先は後から探せる」といった理解は危険です。自社の製造場でどの工程を行い、誰が品質を管理し、どの商品を誰へ輸出するのかを、一つの計画として整える必要があります。
数量計画はどのように作るのか
法定の最低数量が適用されなくても、申請時には製造見込数量を作成します。数字は希望だけで決めず、製造能力と販売見込みの両面から積み上げます。
1. 仕込回数と1回当たりの製成数量を考える
まず、予定するタンク容量、仕込規模、年間の仕込回数を整理します。たとえば、1回当たりの製成見込みを1,000リットル、年間の仕込回数を8回とすれば、単純な年間製成見込みは8,000リットルです。
ただし、原料投入量と最終的な製品数量は同じではありません。製造工程中の欠減、酒粕、ろ過、分析・試飲、容器詰め時のロスなどもあります。申請上の数量は、設備能力と製造方法に合う根拠を示します。
2. 商品ごとに容量と本数を分ける
年間8,000リットルをすべて同じ商品として扱うのではなく、720ml、300mlなど商品構成へ分解します。
例として、年間の販売可能数量を7,200リットルと仮定し、720ml商品へ70%、300ml商品へ30%を配分すると、目安は次のとおりです。
- 720ml商品:5,040リットル ÷ 0.72 = 7,000本
- 300ml商品:2,160リットル ÷ 0.30 = 7,200本
この本数を輸出国、輸入者、販売時期ごとに分け、受注見込みと整合させます。瓶、キャップ、ラベル、外箱の必要数も同時に把握できます。
3. 製造数量と輸出数量の時間差を考える
製造した清酒がすぐにすべて輸出されるとは限りません。貯蔵、熟成、分析、ラベル・包装、輸出手続、船便の手配などがあるため、製造時期と輸出時期に差が生じます。
年度末時点で残る在庫が異常に多くならないか、翌年度の輸出計画へどう引き継ぐかも確認します。輸出用清酒は国内流通を目的とした商品へ自由に切り替えられないため、「輸出が予定どおり進まなければ国内で売る」という計画にはできません。
4. 数量を増やす計画にも根拠を持たせる
初年度5kl、2年目20kl、3年目50klという計画を立てる場合、毎年同じ増加率を置くだけでは説得力がありません。輸入者の追加、販売地域の拡大、商談の進捗、製造設備の増設、資金調達、人員採用など、増加の条件を具体化します。
60kl未満の少量生産で採算を合わせる考え方
少量生産は、設備が小さい分だけ安く運営できるとは限りません。免許申請、建物、給排水、温度管理、分析、貯蔵、瓶詰め、輸出書類など、数量にかかわらず発生する費用があります。
原価計算に入れる主な項目
- 米、米こうじ、酵母、水、醸造用資材
- 精米・運送・保管を外部へ委託する費用
- 瓶、キャップ、ラベル、外箱、緩衝材
- 製造技術者、蔵人、品質管理担当者の人件費
- 製造場の賃料、減価償却、修繕、光熱水費
- 成分分析、衛生管理、廃水処理、酒粕等の処理費
- 国内運送、港湾費用、通関、海上・航空運賃、保険
- 輸入国側の関税・酒税・登録・ラベル対応費
- 輸入者、卸売業者、小売店、飲食店の流通マージン
- 海外展示会、試飲会、販促物、翻訳、現地営業の費用
たとえば、720ml商品を年間7,000本販売する計画で、製造場の年間固定費が1,400万円なら、固定費だけで1本当たり2,000円になります。ここに原料、容器、物流、現地流通費が加わります。蔵出し価格、輸入者への販売価格、現地小売価格を逆算し、対象市場で購入される価格帯に収まるかを確認します。
高付加価値商品という言葉だけでは採算の説明になりません。なぜその価格で売れるのか、原料、製法、地域性、受賞歴、料理との組合せ、販売チャネル、顧客層などに分けて説明します。
輸出経験と海外の取引先をどう示すか
輸出用清酒製造免許では、申請者または従業員に食品等の輸出経験があること、海外の取引先等の輸出先を確保していることが確認されます。
輸出経験の整理
清酒の輸出経験に限らず、食品等の輸出経験を整理します。誰が、いつ、どの商品を、どの国へ、どのような役割で輸出したのかを明確にします。従業員の経験を根拠にする場合は、その人が申請後の輸出実務で担う役割や雇用関係も説明できるようにします。
実績を示す資料としては、取引書類、輸出許可関係資料、インボイス、船積書類、職務経歴、過去の勤務先での担当内容などを整理します。提出資料は個別の申請内容により異なるため、事前相談で確認します。
輸出先の確保
「免許取得後に海外営業を始める」というだけでは、輸出先を確保している説明として弱くなります。海外の輸入者、卸売業者、販売会社などと協議し、取引の具体性を高めます。
次の事項が分かるように整理すると、製造数量や収支計画との整合を確認しやすくなります。
- 取引先の名称、所在地、担当者、事業内容
- 輸出予定国と販売地域
- 商品名、容量、予定数量、単価、通貨
- 初回発注時期と継続取引の見込み
- 貿易条件、運送方法、温度管理
- 輸入許可や現地登録を誰が担当するか
- 現地での卸売先、小売先、飲食店等の販路
- ラベル、成分、容器、包装に関する現地要件
契約書が完成していない段階でも、基本合意書、発注意向書、商談記録、メールなど、協議の進捗を示せる場合があります。ただし、形式的な書面だけを用意するのではなく、数量、価格、時期、規制対応が事業計画と一致していることが重要です。
国内産米、国内製造、国内での容器詰めが必要
輸出用清酒製造免許で製造する清酒は、米および米こうじに国内産米のみを用い、日本国内で製造し、国内で容器詰めしたものに限られます。
したがって、原料計画では、米と米こうじの原料米について国内産であることを確認し、仕入先、品種、産地、数量、価格、保管方法を整理します。地域性を訴求するため奈良県産米を使う計画であれば、必要量を継続的に確保できるか、収穫量や価格変動へどう対応するかも考えます。
また、清酒を国内で製造した後、海外へバルク輸送して現地で瓶詰めする形は、この免許の対象商品としてそのまま想定できません。容器詰め設備を自社製造場へ置くのか、免許関係を整理した国内の別施設を利用するのかを申請前に決めます。
国内販売は原則できない
輸出用清酒製造免許には、「輸出するために製造するものに限る」という条件が付されます。そのため、この免許で製造した清酒を、一般の酒店、EC(インターネット上で商品やサービスを売買する電子商取引)サイト、飲食店、イベントなどで国内消費向けに販売することは原則としてできません。
海外向け商品の反応が弱かった場合に、国内の販売先へ切り替えて在庫を処分することも前提にできません。申請前に輸出先と販売計画を具体化する必要があるのは、この国内流通制限があるためです。
一方、輸出に必要な行為として、次のような場合に無償提供する清酒は、国内への課税移出が認められる取扱いがあります。
- 国内で開催される輸出のための商談会等で使用する
- 商社等の輸出業者へサンプルとして提供する
- 国税局が実施する品質審査等へ提出する
ここで大切なのは「無償」であり、かつ「輸出のために必要な行為」であることです。一般消費者向けの有料試飲、国内向けの販売促進、国内ECでの販売などと混同してはいけません。商談会等で国内へ移出する分は課税移出となり、帳簿や酒税(酒類の製造場からの移出や輸入の際に課される国税)申告の対象になります。
製造技術と人員は数量が少なくても審査される
清酒は、原料処理、製麹、酒母、もろみ、上槽、ろ過、貯蔵、容器詰めなど複数の工程からなり、温度や微生物を継続して管理する必要があります。年間5klだから簡易な知識で足りるというものではありません。
技術的能力は、製造計画・工程、技術者の経歴、人員配置、品質設計、品質管理、研修体制、不測の事態への対応などから総合的に判断されます。申請者本人にすべての経験がない場合でも、必要な技術的能力を備えた人を雇用する方法があります。
製造責任者を外部アドバイザーだけで対応する計画では、仕込期間中の常時対応、日々の判断、異常時の責任体制が十分かを検討する必要があります。雇用形態、勤務日数、権限、他の製造場との兼務、後継者育成まで具体化します。
品質管理計画には、原料の受入れ・ロット・保管温度、工程ごとの温度・時間・分析値、洗浄・殺菌、製品検査、官能評価、保管サンプル、不良品の隔離、出荷判定、ロット追跡、回収手順、海外輸送中の品質維持などを盛り込みます。
製造場と設備計画を数量に合わせる
設備は大きければよいのではなく、製造方法、仕込規模、商品構成、人員に合っていることが重要です。小さすぎて計画数量を安定して造れない設備も、過大で資金計画を圧迫する設備も問題になります。
検討する主な設備・区画には、原料保管、洗米・浸漬、蒸米、放冷、製麹、酒母、仕込、上槽、ろ過、貯蔵、調合、火入れ、瓶詰め、製品保管、分析、洗浄、排水などがあります。精米など一部工程を外部委託する場合は、委託先、搬送、受入検査、責任分担を明確にします。
図面上では、設備の名称と能力だけでなく、人・原料・製品の動線、汚染防止、洗浄、給排水、温度管理、原料と製品の保管、施錠管理などを確認します。物件契約や高額な設備発注の前に、製造場所在地を担当する酒類指導官へ相談し、計画の整理を進めることが重要です。
酒税法以外にも、建築、都市計画、消防、食品衛生、下水道、水質汚濁、工場立地、自治体条例などが関係することがあります。酒類製造免許の審査だけを通せば稼働できるわけではありません。
経営基礎要件と資金計画
申請者には、清酒の製造を継続できる経営基礎が求められます。財務状態、必要資金、設備、人員、原料調達、事業経験などを総合して確認します。
初期投資には、物件取得費、内装・配管・排水工事、醸造設備、冷蔵・空調、瓶詰め設備、分析機器、容器、原料、設計費、許認可対応費などがあります。運転資金として、製造から輸出代金回収までの人件費、賃料、光熱費、物流費、販促費も確保します。
海外取引では、製造してから入金されるまで数か月かかる場合があります。前払い、信用状、送金条件、為替変動、輸送事故、返品・品質クレームなどのリスクもあります。売上が立つまでの資金繰りを月次で作り、売上計画が下振れした場合の対応も考えます。
少量計画では、製造量が少ないこと自体よりも、その数量で設備・人員を維持できるかが重要です。別事業の利益で一時的に支える場合は、法人全体の財務資料と資金の流れを整理します。
申請から免許取得までの流れ
1. 商品と輸出事業の構想を整理する
どの国の、どの顧客へ、どのような清酒を、どの価格で販売するのかを決めます。商品コンセプトだけでなく、輸入者、数量、流通、規制、物流まで確認します。
2. 製造場候補と製造方法を検討する
物件、給排水、設備配置、工程、仕込規模、容器詰め、保管、人員を整理します。賃貸物件では用途、工事、原状回復、貸主の承諾も確認します。
3. 酒類指導官へ事前相談する
製造場所在地の所轄税務署を担当する酒類指導官へ相談します。構想、図面、設備、技術者、数量、輸出先、資金計画を示し、申請に必要な整理事項を確認します。
4. 申請書と添付資料を作成する
免許申請書、申請者の履歴・登記・財務関係、土地建物、製造方法、設備、収支、所要資金、技術者、原料、輸出経験、取引先などの資料を整えます。各資料の数字と説明を一致させます。
5. 税務署・国税局の審査へ対応する
審査は原則として受付順に行われ、税務署での審査後、国税局でも審査されます。申請者や製造技術責任者への確認、追加資料、現場確認が行われる場合があります。
標準処理期間は、原則として申請書等を提出した日の翌日から4か月以内です。ただし、添付漏れ、追加資料、補正について連絡を受けてから提出するまでの日数は標準処理期間に含まれません。実際の開業日は、補正、工事、設備調達、他の許認可も含めて余裕を持って設定します。
6. 登録免許税を納付し免許通知を受ける
免許付与時の登録免許税は、免許1件につき15万円です。税務署からの通知に従って納付し、領収証書の現物を提出します。その後、免許通知書が交付されます。
免許には条件と期限が付く
輸出用清酒製造免許には「輸出するために製造するものに限る」という条件が付されます。条件に反して国内流通向けの清酒を製造すると、免許上の問題になります。
初めて酒類製造免許を受ける場合、原則として免許期限が設定されます。免許期限は原則として、免許日の属する会計年度の末日です。ただし、1月から3月に免許される場合は翌会計年度の末日とされます。
引き続き製造する場合は、期限前に品質審査を受け、「免許期限の延長申出書」を提出します。品質審査、税の滞納その他の要件に問題がなければ、1年間延長されます。免許取得をゴールにせず、品質審査に耐えられる製品と管理記録を継続して整える必要があります。
輸出時の酒税と帳簿・申告
製造した清酒を輸出する目的で製造場から移出する場合、所定の手続により酒税の輸出免税(輸出する商品について一定の証拠保存を条件に消費税を免除する仕組み)を受けられます。ただし、「海外へ送るから自動的に非課税」になるわけではありません。
自社が輸出する場合は、輸出許可書等に基づく事項を帳簿へ記載し、対象月の酒税納税申告書へ必要事項を記載して期限内に提出します。輸出業者を通じて輸出する場合には、未納税移出(一定の要件で、製造場から酒税を納めずに酒類を移動させる制度)の手続と、輸出業者側の移入・輸出に関する資料を適切につなげます。
輸出分だけで納付税額がゼロとなる月でも、申告が不要になるとは限りません。製造、移出、在庫、輸出、課税移出を月ごと・ロットごとに追跡できる帳簿体制を、製造開始前に作ります。
輸出用ラベルと現地規制
輸出先国のラベル表示、成分、容器、輸入登録などは国・地域によって異なります。日本側の清酒表示だけを満たせば世界中へ販売できるわけではありません。輸入者と役割を分担し、現地で必要な確認を行います。
輸出用清酒に使用するラベルについて、税務署の個別許可を受ける制度ではありませんが、輸出開始までに「輸出用清酒ラベル提出書」へラベルのサンプルを貼付し、製造場を所轄する税務署へ提出します。国内で行う輸出向け商談会や輸出業者へのサンプルに使う清酒には、国内移出に必要な表示も検討します。
商品名、製造者表示、原材料、アルコール分、容量、ロット、現地語表示、警告表示などを早めに確認し、瓶・ラベルを大量発注する前に仕様を確定します。
よくある失敗
60kl未満なら簡単に免許が取れると思う
数量基準とその他の免許要件は別です。輸出経験、取引先、技術者、設備、資金、原料、品質管理が不足していれば、少量計画でも審査は進みません。
免許取得後に輸出先を探そうとする
輸出先の確保は申請時の確認事項です。候補国だけでなく、実際の取引先、数量、価格、規制対応を整理します。
売れ残りを国内販売する前提で収支を作る
輸出用清酒は国内販売を前提に製造できません。輸出が遅れた場合の在庫、品質、資金繰りを計画します。
小規模だから設備と人員を最低限にしすぎる
製造工程と品質管理に必要な設備・技術は、製造量が少なくても必要です。担当者が不在の時間帯や異常時の対応も確認します。
物件契約と設備発注を先に進める
酒税法だけでなく、建築、消防、排水、食品衛生などの条件で計画変更が必要になることがあります。契約・発注前に事前相談と関係法令の確認を行います。
よくあるご質問
年間60klを製造できなくても申請できますか?
はい。輸出用清酒製造免許には、清酒の最低製造数量基準60キロリットルが適用されません。年間5klや10klの計画でも申請を検討できます。ただし、その数量を製造する設備・技術・人員・資金があり、輸出先と収支を含めて事業が成立することを説明する必要があります。
最低数量がないなら、年間の製造予定が未定でもよいですか?
いいえ。法定の最低ラインが適用されないだけで、製造見込数量の作成は必要です。仕込回数、設備能力、商品容量、輸出先の発注意向、在庫を基礎に、現実的な数量を積み上げます。
既存の酒蔵へ製造を委託し、自社で免許を取れますか?
自社が製造免許を受けるには、自社の申請製造場で行う製造行為、設備、技術者などの実態が必要です。すべてを既存酒蔵へ委託し、自社はブランド管理と販売だけを行う計画は、自社の製造免許申請とは分けて整理すべきです。委託製造や自己商標商品の卸売・輸出を行う場合は、製造者と販売者の役割、必要な販売業免許を確認します。
輸出用清酒を日本国内でも販売できますか?
原則としてできません。輸出用清酒製造免許には、輸出するために製造するものに限るという条件が付されます。輸出向け商談会、輸出業者へのサンプル、品質審査など、輸出に必要な一定の無償提供には国内への課税移出が認められる取扱いがあります。
海外の取引先は申請時点で必要ですか?
必要です。海外の取引先等の輸出先を確保していることが確認されます。取引先の実在性、商品、数量、価格、時期、輸入・販売体制が分かるよう、契約書、意向書、商談記録などを整理します。
輸出経験がない会社は申請できませんか?
申請者または従業員に食品等の輸出経験があることが確認されます。社内に経験者がいない場合は、必要な体制をどのように構築するかを早い段階で検討してください。外部事業者へ一部を委託するだけで要件を満たすと決めつけず、酒類指導官へ具体的な体制を示して相談します。
奈良県外でも相談できますか?
はい。行政書士法人奈良総合事務所は、奈良県を中心に全国の輸出用清酒製造免許のご相談へオンラインで対応しています。申請先は製造場所在地を所轄する税務署であり、地域を担当する酒類指導官との事前相談を踏まえて進めます。
申請前のチェックリスト
- 製造予定地、建物、土地の使用権原が決まっている
- 製造工程と設備配置図を作成できる
- 1回の仕込数量、年間回数、製造見込数量を説明できる
- 商品容量、本数、輸出数量、在庫を整理している
- 米・米こうじには国内産米を使用する計画である
- 国内で製造し、国内で容器詰めする計画である
- 製造技術責任者の経験、勤務体制、役割が明確である
- 品質管理、衛生管理、異常時対応、ロット追跡の方法がある
- 申請者または従業員の食品等の輸出経験を説明できる
- 海外の輸入者・取引先と商品、数量、価格を協議している
- 輸出先国の輸入規制、表示、容器等の要件を確認している
- 設備資金と、売上入金までの運転資金を確保している
- 国内販売へ切り替えずに在庫へ対応できる
- 免許後の帳簿、酒税申告、輸出免税の担当者を決めている
- 免許期限の延長と品質審査を継続管理できる
輸出用清酒製造免許を検討している事業者の方へ
輸出用清酒製造免許の数量特例は、「60キロリットルを造れる大規模な酒蔵でなければ清酒製造へ参入できない」という課題に対し、海外市場を前提とする新しい事業を可能にする制度です。少量・高付加価値の清酒、地域資源を生かした商品、海外の顧客と共同開発する商品など、従来とは異なる事業モデルを検討できます。
一方で、数量基準が外れることと、事業計画の具体性が不要になることは同じではありません。むしろ製造量が少ない計画では、なぜその数量なのか、どの価格で誰へ売るのか、固定費をどう回収するのか、輸出が遅れたときに在庫をどう管理するのかを丁寧に説明する必要があります。
行政書士法人奈良総合事務所では、製造予定地、設備、技術者、原料、輸出経験、海外取引先、数量、収支を一つずつ確認し、酒類指導官との事前相談、申請書・添付資料の作成、審査中の追加資料や補正まで支援します。
奈良県内で酒蔵を立ち上げたい方はもちろん、全国の事業者からオンラインでご相談いただけます。「60キロリットル未満の計画でも免許の可能性があるか」「物件や設備を決める前に何を確認すべきか」「自社の輸出経験や取引先資料で足りるか」という段階から、分かる範囲で現在の計画をお聞かせください。
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