事業者向けの補助金を探していても、「個人事業主でも使えるのか」「従業員が少ない会社は対象か」と迷う方は少なくありません。持続化補助金第20回では、条件を満たす個人事業主や法人が対象になります。
ただし、事業を営んでいれば誰でも申請できるわけではありません。業種ごとの従業員数、事業の内容、過去の補助金の利用状況などを確認する必要があります。この記事では、対象事業者の見分け方を中心に説明します。
持続化補助金は小規模事業者の販路開拓を支援する制度
小規模事業者持続化補助金<一般型・通常枠>は、自ら経営計画を立て、販路開拓等に取り組む小規模事業者を支援する制度です。個人事業主だけでなく、要件を満たす会社や士業法人も申請を検討できます。
対象となる取組は、事業の経営計画に基づくものであることが必要です。日常の経費を広く補填する仕組みではなく、新たな顧客への販売やサービス提供など、事業の持続的な発展につながる取組を計画します。
業務効率化の取組は、販路開拓等とあわせて実施する場合に検討します。設備を更新するだけの計画でもよいと、最初から判断しないようにしてください。
業種ごとに異なる従業員数の基準
| 業種 | 常時使用する従業員数の基準 |
|---|---|
| 商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く) | 5人以下 |
| サービス業のうち宿泊業・娯楽業 | 20人以下 |
| 製造業その他 | 20人以下 |
「常時使用する従業員」は単純な在籍人数と同じではありません。事業主や法人の役員、一定の同居親族などは、人数の算定で確認が必要です。パート・アルバイトについても、名称だけで一律に除外せず、雇用の実態と公募要領(補助金の対象者、経費、期限、申請方法などを定めた公式ルール)の定義に沿って判断します。
複数の事業を行っている場合は、どの業種で判断するかも確認します。また、原則として事業終了まで小規模事業者の要件を満たす必要があり、卒業加点等には別の扱いがあります。採用予定がある場合は、申請時の人数だけでなく今後の計画も共有してください。
個人事業主・法人以外に確認すべき事業形態
会社や個人事業主であっても、対象外となる業種・形態があります。医師、歯科医師、助産師などは対象外として示されています。農林水産業でも、系統出荷による収入のみの場合などは対象外です。
NPO法人は一定の条件を満たす場合に対象になりますが、すべてのNPO法人が対象ではありません。法人格があることだけで判断せず、具体的な要件を確認します。
「小さい法人だから対象」「開業届を出せば必ず対象」といった判断は避け、現在営んでいる事業と申請主体を整理することが大切です。
従業員数以外にも条件がある
法人の場合、資本金または出資金が5億円以上の法人に、直接・間接に100%の株式を保有されていないことが条件となります。また、確定している直近過去3年の課税所得の年平均額が15億円を超えていないことも確認事項です。
一般的な小規模店舗では該当しにくい条件でも、会社のグループ関係や経営状況によって確認が必要です。対象の判定は従業員数だけで完結しません。
過去の持続化補助金の利用状況も重要です。所定の事業効果等状況報告が未提出の場合や、再申請までの期間の条件を満たしていない場合などは申請が制限されます。卒業枠・卒業加点で補助事業を実施した事業者や、創業型に申請中・採択済みの事業者についても確認が必要です。
対象事業者でも、取組・経費が対象とは限らない
事業者の条件を満たした後に、計画と経費の条件を確認します。たとえば広告に関して、第20回では広報費だけの申請はできず、広報費の補助金交付申請額は30万円(税込)が上限です。ウェブサイト関連費にも、単独申請の禁止と補助金額30万円(税込)の上限があります。
また、原則として交付決定(採択後の経費確認を経て、補助事業へ着手できることを事務局が正式に決めること)前の発注・契約・購入・支払いは対象外です。対象事業者であっても、すでに契約した広告や工事を後から対象にできるとは限りません。
広告の補助金の条件や改装工事の注意点も、予定している投資にあわせてご覧ください。
申請前に手元で整理したい情報
- 個人事業主・法人の区分、事業を営む所在地、主な業種。
- 雇用状況が分かる情報と、常時使用する従業員数。
- 売上や利益、顧客、商品・サービスなど、経営の現状。
- 過去に利用した持続化補助金の公募回と、実績報告・事業効果等状況報告の状況。
- 予定している投資内容、概算額、見積もり、希望時期。
- GビズIDプライムの取得状況。
この一覧は初期相談を進めるための整理項目です。正式な必要書類は法人・個人の区分や申請条件によって異なるため、公募要領と申請時の案内に沿って確認します。
第20回の期限と、準備の進め方
電子申請の受付開始は2026年11月5日、締切は2026年12月15日17時の予定です。商工会・商工会議所への事業支援計画書の発行依頼は、2026年12月4日が受付締切です。
まず対象事業者に該当するかを確認し、その後に経営課題、販路開拓の計画、経費を整理します。電子申請の準備と地域の商工会・商工会議所への相談も必要です。提出直前に一度に片付けようとせず、修正の時間を確保しましょう。
「申請できる」と「実行できる」を両方確認する
対象事業者の条件を満たすことは、検討の第一歩です。その先に、投資を実行する資金、実施できる日程、書類を整理する体制があるかも確認します。
補助金は原則として後払いなので、入金前に業者へ支払う資金が必要です。基本補助上限や経費区分の上限が適用されるため、支出全体の2/3が必ず補助されるという理解も避けてください。
日常業務と報告業務を両立できるか
申請時だけでなく、交付決定後の発注管理、資料保存、実績報告(補助事業の実施内容と支出証拠を事務局へ提出する手続)、入金後の報告も続きます。担当者を決め、経営者が内容を確認できるようにすると、制度に沿った手続を進めやすくなります。
事業者の人数が少ない場合、専門家の支援を利用することも選択肢です。ただし、自社の計画づくりや意思決定を丸ごと他者へ任せるものではありません。自己負担と入金までの工程は、資金繰りを解説した記事で確認できます。
第20回は売上高・売上総利益の増加見込みも具体的に
第20回では、事業効果および賃金引上げ等状況報告書を提出する時点の売上高・売上総利益が、補助事業終了時と比べて増加することが見込める事業であることが、対象事業の要件に追加されています。
申請時には、客観的な市場・顧客ニーズの情報や営業方針等を根拠に、売上高・売上総利益の増加という定量的成果を計画書に記載する必要があります。問い合わせ数や来店数の目標だけでなく、販売単価、販売件数、原価等を整理し、売上と売上総利益へどうつながるかを説明します。
数字を大きくすることが目的ではありません。現在の実績と施策の規模から説明できる見込みを考えます。取得した資産を補助事業終了後も継続して使い、事業に役立てることも審査の観点に追加されています。
賃金引上げ特例は第19回と指標が変わる
第20回の賃金引上げ特例は、第19回の「事業場内最低賃金(同じ事業場で働く従業員に実際に支払う時間給のうち最も低い金額)を50円以上引き上げる」という条件から、1人あたり給与支給総額(給料や賞与など、企業が従業員へ支給する給与の合計額)を年平均3.0%以上増加させる条件へ変更されています。賃金引上げ加点も、最低賃金を30円以上引き上げる条件から、1人あたり給与支給総額を年平均2.0%以上増加させる条件へ変わります。
比較するのは2027年4月~2028年3月と、その前年同月の12か月です。特例・賃上げ加点を利用する場合、補助事業終了予定日は2028年3月31日に設定します。給与、賞与、残業代等、算入する従業員の範囲やパートタイム換算などにも条件があるため、時給の上げ幅だけでは判断できません。
所定の目標設定と表明、実績報告時点での達成が必要です。特例の要件を満たさない場合は、上乗せ分だけでなく全体が交付対象外になる扱いもあるため、人件費と資金の計画を十分に確認してください。
過去に採択された方の再申請条件と、第20回からの追加条件
過去に持続化補助金で採択され、補助事業を実施した事業者は、第20回へ再申請する前に、事業実施期間終了日の属する月の翌月から1年間が経過し、所定の「事業効果および賃金引上げ等状況報告書」の提出を完了している必要があります。公募要領に挙げられた過去の対象事業について、報告書が未提出の場合は補助対象外となります。
これとは別に、第20回で採択され補助事業を実施する事業者には、上記の報告書の提出完了後、さらに1年が経過してから再申請できるという条件が追加されています。この追加条件を、過去に採択されたすべての事業者が第20回へ申請する際の条件と混同しないようにしましょう。起点は単純な入金日ではありません。過去の公募回、事業終了時期、報告書の提出状況を確認してください。
よくあるご質問
従業員がいない個人事業主でも対象になりますか?
従業員がいないことだけで対象外になるわけではありません。営んでいる事業、申請主体、過去の利用状況、計画や経費等の要件を確認します。
商工会・商工会議所の会員でなければ申請できませんか?
会員であることは申請の必須条件ではありません。事業を営む所在地をもとに管轄を確認し、事業支援計画書などの手続を相談します。
過去に持続化補助金を受けていても申請できますか?
利用した公募回、事業実施期間、報告の提出状況等によって判断します。過去に受給した事実だけで一律に判断せず、以前の通知や報告資料を確認してください。
事業者の条件を満たせば採択されますか?
条件を満たすことと採択は別です。計画等の審査があり、申請すれば必ず採択・入金される制度ではありません。
※本記事は2026年9月18日時点の第20回公募要領(第8版)に基づく解説です。
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