店舗の売場を見直したい、新しいサービスを提供する空間を整えたい。そのような改装に、持続化補助金第20回を活用できる場合があります。
ただし、改装費ならすべて対象になるわけではありません。販路開拓につながる計画であることに加え、工事の内容、契約の時期、実施期間を確認する必要があります。工事業者との正式な契約前に押さえたい点をまとめます。
店舗改装は「委託・外注費」として検討する
持続化補助金では、店舗改装等の外注工事は主に委託・外注費として確認します。この区分は、他の経費区分に該当せず、自ら実行することが難しい業務の一部を第三者へ依頼する場合のものです。
公募要領(補助金の対象者、経費、期限、申請方法などを定めた公式ルール)では、店舗改装やバリアフリー化、利用客向けトイレの改装などが対象となる経費の例として示されています。ただし、経営計画に基づく販路開拓等の取組とのつながりが必要です。
「古くなったからきれいにする」という理由だけでなく、「どのお客様に何を提供するために、どの部分を変えるのか」を説明できるかが計画づくりの出発点になります。
改装の内容別に確認したいポイント
| 改装・工事の内容 | 確認したいこと |
|---|---|
| 売場や接客スペースの改装 | 新たな販売・サービス提供と工事の関係 |
| バリアフリー化や利用客向けトイレの改装 | 顧客の利用につながる目的と対象範囲 |
| 生産設備の導入に伴うガス・水道・排気工事 | 販路開拓等の計画とのつながりと経費の区分 |
| 従業員の作業動線を改善する工事 | 販路開拓等とあわせた業務効率化で、申請時の計画に記載しているか |
| 自宅と店舗が一体の建物 | 私的使用部分を除き、対象部分を区分できるか |
これは判断の入口を示した整理です。同じ名称の工事でも、建物の用途や使い方によって扱いは異なります。契約前に図面や見積書を用意し、範囲を確認しましょう。
対象外になりやすい工事・支出
単なる移転に伴う旧店舗・新店舗の解体や建設、住宅として使用する部分の改装などは対象外です。また、不動産の取得に該当する増築等も対象になりません。
貸すことを目的とした施設の改装など、自己の販路開拓のための利用とは異なるものも注意が必要です。コインランドリーや貸倉庫等の扱いについても、公募要領に対象外の例が示されています。
工事見積書の「諸経費一式」など、内容が分からない費用もそのまま対象として認められるとは限りません。対象外の部分と混在した場合は、項目を分けて金額を確認します。
改装の補助金額はどう考える?
基本補助率は2/3、基本補助上限は50万円です。たとえば対象となる改装工事が税抜75万円なら、2/3は50万円となります。一方、工事費が税抜150万円でも、基本枠の上限は50万円です。
インボイス特例や賃金引上げ特例による上限加算には条件があります。工事費が大きいから自動的に上限が増えるわけではありません。また、対象外工事や消費税の扱いによっても計算が変わります。
補助金は事業の実施・支払い・実績報告(補助事業の実施内容と支出証拠を事務局へ提出する手続)等を経て受け取る仕組みです。補助金の入金を待ってから工事代金を払う計画ではなく、先に支払える資金を確保しておきます。
最重要:採択と交付決定は別の手続
原則として、交付決定(採択後の経費確認を経て、補助事業へ着手できることを事務局が正式に決めること)前の契約・発注・購入・支払いは対象外です。着工を待つだけでは足りず、正式な工事契約や前払いにも注意が必要です。
見積もりの取得や計画の検討は準備として進められますが、採択通知が届いただけで発注してはいけません。補助金交付決定通知書に記載された交付決定日を確認してから進めます。
第20回の採択発表は2027年3月頃の予定です。詳細な見積書を速やかに提出しても、採択から交付決定まで概ね1~2か月かかる場合があります。開店日や繁忙期に合わせた工事を考えている方は、この期間を織り込んでください。
申請前に工事業者へ確認したいこと
- 施工範囲が分かる図面・写真と、項目別の見積書を用意できるか。
- 契約・発注を交付決定後まで待てるか。
- 施工と支払いを補助事業実施期間内に完了できるか。
- 完了後に工事内容や支払いを確認できる資料を受け取れるか。
- 内容変更が生じた場合に、事前確認の時間を確保できるか。
必要な見積書や相見積(同じ条件について複数の事業者から見積書を取り、価格や内容を比較すること)書、実績報告の証拠資料は制度の案内に沿って準備します。賃貸店舗の場合は、貸主の承諾や契約上の制約も別に確認しておくと、工事の段取りを組みやすくなります。
第20回の事業実施期間は交付決定日から2028年3月31日までです。実績報告は、事業終了から30日後と2028年4月10日のいずれか早い日が提出期限となります。工事終了だけでなく、支払いと報告まで予定に入れましょう。
改装後も、財産の処分に制限がある場合
店舗改装による不動産の効用増加等で、税抜50万円以上のものは処分制限財産に該当する場合があります。補助金を受け取った後も、目的外使用や譲渡、廃棄等には制限があり、事前の承認や返還が必要になる場合があります。
近い将来の移転、用途変更、事業譲渡を予定している場合は、申請前からその予定も共有してください。「入金したらすべて自由に変更できる」という理解は避ける必要があります。
工事の打合せと補助金の計画を別々に進めない
施工の相談だけが進むと、申請した取組と工事内容が食い違うことがあります。経営者、工事業者、申請支援者の間で、対象範囲と日程を共有することが重要です。
たとえば、販路開拓に必要な売場改装と、別の目的の修繕が同じ見積書に入る場合は、それぞれの内容と費用を分けます。工事名だけではなく、施工箇所や利用目的を確認してください。
改装後の運営まで考える
工事が完了しても、想定したサービスを提供できなければ計画の実行に支障が出ます。商品の供給、人員、接客方法、広告の告知時期などを確認します。これらの費用がすべて補助対象になるという意味ではなく、実行可能な事業にするための検討です。
計画書の書き方を掘り下げたい方は、改装と経営計画を結び付ける記事をご覧ください。対象工事の確認と計画の具体化を並行して進めると、見積もりや報告資料も整理しやすくなります。
第20回は売上高・売上総利益の増加見込みも具体的に
第20回では、事業効果および賃金引上げ等状況報告書を提出する時点の売上高・売上総利益が、補助事業終了時と比べて増加することが見込める事業であることが、対象事業の要件に追加されています。
申請時には、客観的な市場・顧客ニーズの情報や営業方針等を根拠に、売上高・売上総利益の増加という定量的成果を計画書に記載する必要があります。問い合わせ数や来店数の目標だけでなく、販売単価、販売件数、原価等を整理し、売上と売上総利益へどうつながるかを説明します。
数字を大きくすることが目的ではありません。現在の実績と施策の規模から説明できる見込みを考えます。取得した資産を補助事業終了後も継続して使い、事業に役立てることも審査の観点に追加されています。
よくあるご質問
すでに工事を契約しています。支払い前なら対象ですか?
交付決定前の契約は原則として対象外です。支払い日だけで判断せず、契約・発注の経緯を確認します。
自宅兼店舗の改装も対象になりますか?
私的使用部分は対象外です。事業用部分を図面等で区分し、対象範囲と経費の按分を確認する必要があります。
補助金に合わせて改装内容を増やした方がよいですか?
補助金のために不要な工事を増やすのではなく、顧客や販売の課題に必要な範囲を整理します。自己負担や将来の維持費も踏まえて判断しましょう。
※本記事は2026年9月18日時点の第20回公募要領(第8版)に基づく解説です。
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