建設業許可で技術者の実務経験を使う場合、経験年数だけでなく、その期間に対象業種の工事へ従事していたことを裏付ける必要があります。「現場歴が長いので大丈夫」と考える前に、工事と在籍の両方の資料を確認しましょう。
証明したい事実を分ける
確認するのは、勤務先等で対象業種の工事が実際に行われていたことと、本人がその仕事に従事していたことです。工事契約書があっても本人の勤務が確認できなければ十分ではなく、給与の記録だけでも工事の種類までは分かりません。
実務経験証明書の期間、勤務先、職務内容と、裏付け資料を対応させる作業が必要です。独立前と独立後の経験を合算して検討する場合は、区間ごとに整理します。
主な資料と読み取れること
表はスマートフォンで横にスクロールできます。
| 資料 | 確認できる内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 工事請負契約書・注文書等 | 発注者、工事内容、時期等 | 対象業種が読み取れるか |
| 請求書と入金資料 | 工事代金の請求・支払い | 名義、日付、金額のつながり |
| 過去の許可関係資料 | 勤務先の許可業種・期間等 | 本人の従事内容は別途確認 |
| 在籍・社会保険等の記録 | 勤務していた期間 | それだけで施工内容を証明しない |
| 資格や学歴資料 | 経験年数を判断する経路 | 学科・資格区分との組合せ |
資料の組合せや必要な期間・件数は、奈良県の手引きと個別の状況に応じて確認します。表の資料を一つ持っていれば全期間が証明できる、という意味ではありません。
工事名だけで分からない場合
「改修工事一式」「設備工事」などの名称だけでは、内装、管、電気などの業種を判定できないことがあります。契約に関連する内訳書や仕様書など、具体的な施工内容が分かる資料も確認します。
請求書で証明する場合は、対応する入金記録を探します。まとめ払い、相殺、振込手数料控除などで金額が違うときは、その理由を原資料で説明できるよう整理してください。
経験年数は重複に注意
複数の業種の工事に携わっていても、同じ期間をそれぞれの必要年数として自由に重複計上できるわけではありません。また、在籍期間の全てが対象業種の実務経験になるとは限りません。
年月、勤務先、工事業種、担当内容、対応資料を並べた年表を作り、算入できる期間を確認します。複数業種に関する緩和措置には個別条件があるため、単純な足し算で判断しないでください。
過去の勤務先に依頼する前に
どの期間・業種の確認が必要かを整理し、依頼内容を明確にします。勤務先の担当者に「許可に使う書類をください」とだけ伝えるより、候補期間と必要事項を説明する方が話を進めやすくなります。
勤務先が廃業した、保管資料が少ない、証明協力を得にくい場合も、現状を隠さず伝えてください。代わりに使える資料があるかは個別の判断であり、必ず他の資料で代替できるわけではありません。
取得前から記録を残す
今後の申請を考えているなら、契約、請求、入金、担当者、工事内容を対応させて保管しましょう。電気工事や解体工事など、営業に別の登録・届出等が関係する分野では、その適法な事業実態も確認が必要です。
経験は事実の積み重ねです。過去にない取引を作成したり、関わっていない工事を本人の経験として記載したりすることはできません。
よくあるご質問
確定申告書だけで技術者の経験を証明できますか?
確定申告は事業実態を確認する資料の一つですが、個別の施工内容まで分からない場合があります。工事関係資料等とあわせて検討します。
資格があれば経験の資料は不要ですか?
資格と業種の組合せによります。資格だけで該当する経路か、資格に加えて経験等を要する経路かを先に確認してください。
