行政書士法人奈良総合事務所
補助金

M&Aが成立しなかった場合の補助金|小規模売り手支援類型の上限50万円

小規模売り手支援類型へ採択されても、補助事業期間内にM&A(企業や事業の合併・買収を通じて経営資源を引き継ぐ取引)が成立しなければ補助条件が変わります。第16次公募では、未成立時の補助上限は50万円となり、着手金、システム利用料、DD(M&Aの前に対象企業の財務・法務・事業等を調べるデュー・ディリジェンス)費用が対象となり得ます。

成立時と未成立時の違い

成立した場合の上限は450万円、補助率は3分の2以内です。廃業費を併用する場合は150万円まで上乗せできます。未成立の場合は上限50万円へ変更され、成功報酬や廃業費を前提にした金額は残りません。

「成立」の基準を契約書で確認する

最終契約を締結しただけでなく、補助事業期間内のクロージング(M&A契約に基づき、株式や事業の引渡しと代金決済を完了すること)が必要です。株式譲渡なら株式・代金・名義の移転、事業譲渡なら対象資産・契約等の引渡しを確認します。

未成立でも対象になり得る費用

着手金、マッチングシステム利用料、DD費用が候補です。ただし、交付決定(採択後の経費確認を経て、補助事業へ着手できることを事務局が正式に決めること)後に契約・発注され、期間内に支払い、必要性と金額を証拠で確認できることが前提です。

仲介契約で先に確認する条項

最低報酬、月額料金、専任期間、自動更新、直接交渉禁止、テール条項、解除費用を確認します。補助上限50万円を超える未成立時費用は自己負担になります。

売却スケジュールを逆算する

候補探索、秘密保持、企業概要書、トップ面談、意向表明、基本合意、DD、最終契約、許認可確認、クロージングまでの期間を置きます。公募開始後に初めて仲介会社を探す場合、クロージングが期間に間に合うかを現実的に判断します。

実績報告で残す資料

専門家契約、見積・相見積(同じ条件について複数の事業者から見積書を取り、価格や内容を比較すること)、候補探索の実施記録、請求書、振込記録、DD報告書、不成立となった経緯を保存します。相手方の秘密情報は必要範囲を残し、提出方法を事務局へ確認します。

廃業へ進む場合

M&A不成立後に廃業する場合でも、小規模売り手支援類型の廃業費上乗せが自動的に使えるわけではありません。廃業・再チャレンジ枠の要件、廃業時期、原状回復・在庫処分等の対象経費を別途確認します。

通常の売り手支援類型と比較する

小規模売り手支援類型は上限450万円、補助率3分の2、補助下限なしです。通常の売り手支援類型は上限600万円、補助下限50万円で、補助率は2分の1または3分の2です。両方へ同時申請はできません。

予定報酬が少額なら下限のない小規模売り手支援類型が合う場合があります。一方、高額な成功報酬やDDを予定する場合は、通常枠との比較が必要です。未成立時の上限と残る経費も含めて選びます。

売り手側の共同申請と費用負担

株式譲渡では株主が譲渡代金を受け取りますが、対象会社が資料作成や仲介実務へ関与します。支配株主・株主代表が申請する場合は対象会社との共同申請が必要です。各申請者が負担した対象経費に応じて補助金が交付されます。

仲介契約を株主個人が締結し、会社が報酬を払うなど、契約者・請求先・支払者が不一致にならないようにします。

M&A成立までの工程管理

候補探索、秘密保持契約、企業概要書、トップ面談、意向表明、基本合意、DD、最終契約、許認可・金融機関対応、クロージングを並べます。買い手の融資審査や許認可確認が遅れると期間内に成立しません。

毎月、候補数、面談数、基本合意の見込み、DD開始日、契約予定日を更新します。不成立リスクが高まった場合は、補助上限変更を前提に支払予定を見直します。

廃業費を併用する場合

一部事業・店舗の廃止、原状回復、在庫処分、廃業登記等は経費区分ごとの条件を確認します。商品在庫を売却して対価を得る場合の処分費、リース解約金・違約金、リース資産売買費用などは対象外となるため注意します。

未成立時のFAQ

候補先が見つからなかった場合も50万円受け取れますか?

自動的には受け取れません。交付決定後の対象経費で、契約・支払・成果を証拠で確認できる必要があります。

廃業すれば上限150万円が追加されますか?

未成立時の取扱いと廃業費の要件を別々に確認します。単に閉店しただけで自動加算されません。

次回公募へ再申請できますか?

同一経費の重複や過去申請の報告状況を確認し、次回要領に従って判断します。

## 関連する実務をさらに具体化

事業承継・M&A補助金は、承継前後の設備投資、M&A専門家への費用、M&A後のPMI(M&A成立後に、経営・業務・人事・システム等を統合する取組)、廃業と再挑戦を支援する国の制度です。2026年10月20日現在、16次公募は2026年10月2日から11月6日17時まで受け付けられています。

廃業・再チャレンジ枠で最初に押さえるポイント

単独申請ではM&Aへ一定期間取り組んだ事実、廃業完了、新たな挑戦を示します。併用申請と単独申請で要件を混同しないことが重要です。

国の制度には事業承継促進枠、専門家活用枠、PMI推進枠、廃業・再チャレンジ枠があります。経費の名前だけで枠を選ばず、誰が、いつ、どの方法で承継し、何のために支払うかで判断します。

具体例

奈良県内の会社が後継者へ経営を引き継ぎ、老朽設備を更新する場合は、承継日と設備の交付決定後発注が両立する工程を作ります。第三者M&Aで仲介会社へ依頼する場合は、売り手・買い手、契約類型、登録支援機関(特定技能1号の外国人に必要な支援を、受入れ企業から委託されて行う登録事業者)、着手金・中間金・成功報酬の発生日を整理します。M&A後のシステム統合なら、専門家活用枠ではなくPMI推進枠が適切かを検討します。

16次公募のスケジュール

工程 予定
公募申請 2026年10月2日〜11月6日17時
採択 2026年12月下旬以降順次
交付申請 2027年1月上旬〜11月中旬予定
交付決定 2027年1月下旬以降順次
事業実施 交付決定日〜2028年3月中旬予定
実績報告 2027年6月上旬〜2028年3月下旬予定

公募回ごとに要件・上限・様式が変わるため、過去記事の数字をそのまま使わず16次の該当枠公募要領(補助金の対象者、経費、期限、申請方法などを定めた公式ルール)で確認します。

申請前に整理する情報

申請者、承継相手、承継方法、契約予定日、経費を支払う主体、補助事業完了予定日を一枚の工程表にします。株式譲渡、事業譲渡、親族内承継、従業員承継では必要資料と申請枠が異なります。

確認項目 書き出す内容
承継方法 株式譲渡、事業譲渡、親族内、従業員承継等
立場 売り手、買い手、承継者、被承継者
実施日 基本合意、最終契約、クロージング、代表者交代
経費 支払先、見積額、契約日、支払日、成果物
資金 自己資金、融資、補助金入金までの立替

対象可否を判断する順番

第一に申請者が中小企業者等の要件を満たすか、第二に予定する承継・M&Aが該当枠の対象となるか、第三に支出予定の費用が対象経費か、第四に全工程を補助事業期間内に完了できるかを確認します。いずれか一つだけ満たしても申請できません。

M&Aの場合は、株式譲渡か事業譲渡か、最終契約前か成立後か、売り手と買い手のどちらが費用を負担するかを確認します。親族内・従業員承継では、代表者交代だけでなく、経営権の移転と承継後の取組を資料で説明できる状態にします。

経費を見積書へ落とす方法

見積書の「コンサルティング一式」「システム一式」だけでは、必要性と対象範囲を判断しにくくなります。業務名、実施期間、作業工程、担当者、成果物、数量、単価を分けます。

経費の例 見積書で明確にする内容
仲介・FA 着手金、中間金、成功報酬、算定基準
DD 財務・法務・税務・労務等の調査範囲と報告書
PMI支援 現状分析、統合計画、会議支援、成果物
設備・システム 型番、数量、設置費、設定費、使用目的
廃業費 原状回復範囲、処分数量、登記等の手続内容

申請時の見積と実際の契約が変わる場合は、契約前に変更承認等の要否を確認します。値引きや支払先変更であっても、報告時に説明できる記録を残します。

申請資料の実務チェックリスト

  • GビズIDプライムの利用準備
  • 直近決算書・確定申告書
  • 法人登記、株主・役員情報
  • 承継当事者と関係性が分かる資料
  • M&A契約、基本合意、仲介契約等の予定
  • 補助対象経費の見積書・相見積
  • 資金調達と立替資金の計画
  • 承継前後の組織図・従業員数
  • 売上、粗利、付加価値額等の数値計画
  • 設備・専門家業務の必要性と成果物

書類の名称だけをそろえるのではなく、申請フォームの数字、決算書、見積書、事業計画で金額と日付を一致させます。

交付決定後の管理表

補助対象経費(補助金の計算対象として公募要領で認められた支出)ごとに「交付決定額、契約日、発注日、納品日、検収日、請求日、支払日、証拠ファイル名」を一覧化します。銀行振込の名義と申請者が異なる場合、クレジットカードの引落しが事業期間後になる場合、複数案件が一枚の請求書に混在する場合は、支払前に事務局へ確認します。

成果物は最終版だけでなく、納品メール、会議記録、検収書も保管します。専門家業務では報告書の内容が契約した業務範囲と対応しているか、設備では型番・設置場所・稼働状況が分かる写真を残します。

補助金を前提にM&A日程を組む際の注意

補助金は後払いです。採択されても交付決定まで契約できない経費があり、審査や補正に要する期間も確定ではありません。M&Aの基本合意、独占交渉期間、融資実行、クロージング期限が先に固定されている場合、補助金の工程と両立するかを契約前に検証します。

補助金が不採択または対象外になってもM&Aを実行するのか、経費を縮小するのか、自己資金で全額負担するのかを決めておくと、相手方との交渉が補助金結果だけで停止することを防げます。

申請から補助金入金までの流れ

事業承継・M&A補助金の申請から実績報告までの流れ
  1. GビズIDと申請資料を準備する
  2. Jグランツで公募申請する
  3. 採択結果を確認する
  4. 交付申請を行い、交付決定を受ける
  5. 交付決定後に契約・発注する
  6. 補助事業期間内に納品・検収・支払を完了する
  7. 証拠書類と成果物を添えて実績報告する
  8. 確定検査と補正へ対応する
  9. 補助金額確定後に請求し、入金を受ける

採択だけでは補助対象経費を発注できません。交付決定前の契約・発注・支払を避け、実績報告(補助事業の実施内容と支出証拠を事務局へ提出する手続)で追跡できるよう、見積から振込まで同じ案件名・金額で管理します。

実績報告で必要になる証拠

見積書、相見積、契約書、発注書、納品書、検収記録、請求書、銀行振込記録、成果物を経費ごとにひも付けます。現金払いや相殺、補助対象外経費との一括請求は確認が難しくなるため、支払前に処理方法を決めます。

計画変更、支払先変更、金額の大幅変更、事業期間内に完了できない見込みが出た場合は、実施後ではなく事前に変更承認等の要否を確認します。

よくある失敗

  • GビズIDの取得を締切直前に始める
  • 採択通知後、交付決定前に契約する
  • M&A契約の当事者と経費の支払者が一致しない
  • 見積書の「業務一式」で内容を説明できない
  • 成果物や検収記録を残していない
  • 補助金入金までの立替資金を確保していない
  • 変更を事後報告で済ませようとする

奈良総合事務所が支援できること

行政書士法人奈良総合事務所では、対象枠の整理、申請スケジュール、必要書類、事業計画、電子申請、採択後の交付申請、実績報告まで一貫して支援します。M&A契約や税務・法務の専門判断が必要な部分は、関係専門家と役割を分けて進めます。

無料相談・お問い合わせ

登録支援機関で最初に押さえるポイント

仲介・FA(M&Aで一方の当事者だけを支援するファイナンシャル・アドバイザー)費用を対象にする場合、契約先がM&A支援機関登録制度の登録機関か、契約締結日・業務範囲・手数料体系を契約前に確認します。

成功報酬で最初に押さえるポイント

着手金、中間金、成功報酬は名称だけで判断できません。契約、役務提供、M&A成立、請求、支払が補助事業期間内かを時系列で確認します。

実績報告で残す証拠書類

経費ごとに、見積、相見積、契約、発注、納品、検収、請求、振込、成果物を一つのフォルダへ保存します。銀行振込記録には支払元、支払先、日付、金額が必要です。カード決済は利用日だけでなく引落日が事業期間内かを確認します。

専門家業務では最終報告書、面談記録、助言資料を残します。設備は型番が読める写真、設置場所、稼働状況、固定資産台帳との対応を残します。ウェブやシステムは画面、仕様書、検収記録、公開日を保存します。補助対象外費用と一括請求された場合は、対象額を明確に区分できる内訳が必要です。

変更・遅延が生じた場合

承継相手の変更、クロージング延期、専門家変更、設備型番変更、金額の大幅な増減、事業完了の遅れが判明したら、実施前に事務局へ確認します。実績報告で初めて説明しても認められるとは限りません。

変更内容、理由、変更前後の金額、事業目的への影響、スケジュールを整理し、承認手続の要否を確認します。メールや問い合わせ記録も保管します。

資金繰りと補助金の後払い

補助金は原則として後払いです。専門家費用や設備代金を先に全額支払い、実績報告・確定検査後に補助金が入ります。採択額を入金日から逆算して使うのではなく、自己資金や融資で立替可能か確認します。

M&Aでは株式取得代金、運転資金、専門家費用、設備投資が同時期に発生します。補助対象外の株式取得代金等と補助対象経費を区分し、消費税、源泉徴収、振込手数料の扱いも資金表へ反映します。

不採択・減額へ備える代替計画

補助金は申請すれば必ず受け取れるものではありません。不採択でも承継を進める経費、延期する投資、規模を縮小する項目を事前に分けます。採択後も交付申請や確定検査で対象経費が減る可能性があります。

補助率を掛けた金額をそのまま受取額として資金繰りへ入れず、対象外経費、消費税、上限、端数、減額リスクを反映した保守的な金額で管理します。融資担当者には補助金入金時期が確定していないことを共有します。

公募締切前の最終点検

申請者名、法人番号、代表者、所在地、決算期を登記・決算書と照合します。添付ファイル名に版数を入れ、古い見積や差替え前の計画を添付しないようにします。申請フォームを一度PDF等で確認し、未入力、文字切れ、単位誤り、税抜・税込の混在を点検します。

締切直前はアクセス集中やGビズID(法人・個人事業主が複数の行政サービスへログインするための共通認証アカウント)の問題が起こり得ます。社内承認と専門家確認の期限を公募締切より前に設定し、送信完了画面と申請番号を保存します。提出後に修正できると決めつけず、最終版を確定してから送信します。

申請担当者が作る証拠番号表

実績報告を想定し、申請時から経費へ番号を付けます。たとえば「E01=FA着手金」「E02=財務DD」「E03=設備本体」のようにし、見積、契約、発注、納品、請求、振込、成果物のファイル名を同じ番号で統一します。請求額が見積から変わった場合は、変更理由と承認記録を番号表へ記載します。

複数の支払を合算する場合は、どの請求書へいくら支払ったかを振込明細と対応させます。振込手数料が差し引かれた場合、対象額との不一致を説明できるようにします。ネットバンキング画面は予約画面だけでなく、実際に振込が完了した記録を保存します。

月別の管理スケジュール例

公募申請月はGビズID、決算書、見積、承継資料、事業計画を確定します。採択月は交付申請の不足資料を整えます。交付決定月に契約・発注し、翌月以降は納品・専門家業務の進捗と証拠を毎月確認します。完了予定日の2か月前には未納品、未請求、未払の経費を洗い出します。

完了月に慌てて証拠を集めると、契約書や検収記録を後から作ることになります。月次会議で経費番号表を更新し、申請担当、経理担当、M&A担当、設備担当が同じ工程表を見る運用にします。

M&A未成立時は上限50万円

補助事業期間内にクロージングしなかった場合、上限は50万円へ変更されます。この場合に対象となり得るのは、着手金、システム利用料、DD費用です。成功報酬や廃業費を前提にした申請額がそのまま残るわけではありません。

売り手は、仲介契約の最低報酬、月額利用料、直接交渉禁止、契約解除時の費用を確認し、未成立時の自己負担額を把握します。

契約日と支払日の管理

FA・M&A仲介費用は、登録支援機関との委託契約、基本合意、最終契約、報酬支払を補助事業期間内で管理します。交付決定前の専門家契約や、期間終了後の成功報酬支払は対象外となる可能性があります。

株式譲渡で支配株主・株主代表が申請する場合は、対象会社との共同申請が必要です。誰が専門家と契約し、誰が請求を受け、誰が支払うかを公募申請前に統一します。

不成立が見えた段階で行う実務対応

補助事業期間の終盤まで成立を期待して放置すると、証拠整理や支払調整が間に合いません。基本合意が解除された、買い手の融資が否決された、許認可承継が困難になったなどの事実が判明した時点で、仲介会社と事務局へ確認します。

それまでに実施した候補探索、面談、企業概要書作成、DDの成果を一覧にし、どの費用が未成立時にも対象となり得るかを整理します。追加の月額費用や契約更新を行う前に、上限50万円を超える自己負担を計算します。

未成立後の3つの選択肢

第一は、自己資金で探索を継続する方法です。次回公募を利用する場合は、同じ費用の重複計上を避けます。第二は、役員・従業員承継へ切り替える方法です。この場合は事業承継促進枠の承継時期や後継者要件を確認します。第三は、廃業・再チャレンジを検討する方法です。原状回復や在庫処分を契約する前に、別枠の要件と交付決定時期を確認します。

不成立時の証拠チェック

  • 交付決定後に締結した専門家契約
  • 着手金・利用料・DDの具体的な見積と請求
  • 候補探索や面談を行った記録
  • DD報告書または調査成果物
  • 支払元・支払先・日付・金額が分かる振込記録
  • 不成立となった経緯と契約終了の記録

買い手候補との交渉が続いていても、補助事業期間を自動的に延長できるわけではありません。成立見込み、残りのDD、融資・許認可手続の日数を確認し、期間内完了が難しい場合は早期に事務局へ相談します。

奈良総合事務所への相談

行政書士法人奈良総合事務所では、奈良県を中心に全国から事業承継・M&A補助金のご相談をオンラインで受け付けています。申請枠の判定、必要書類、事業計画、Jグランツ(国や自治体の補助金をオンラインで申請する電子申請システム)申請、採択後の交付申請、実績報告まで一貫して支援します。

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