親から子などの親族内承継を契機に設備投資を行う場合、事業承継・M&A(企業や事業の合併・買収を通じて経営資源を引き継ぐ取引)補助金の事業承継促進枠を検討できます。ただし、代表者の変更だけでは足りません。第16次公募では、経営権と所有権の双方を後継者へ移し、後継者が引き継ぐ経営資源を活用して生産性向上に取り組むことが求められます。
親族内承継で最初に確認する5項目
- 承継は第16次公募の申請締切後5年以内か
- 後継者は被承継者の親族で、対象会社の代表経験がないか
- 法人では代表者変更に加えて株式等の所有権を移すか
- 後継者が設備投資を主導するか
- 5年間で付加価値額等を年平均3%以上伸ばせるか
申請締切前に実質的な承継が完了している場合は対象外です。数年前に代表者を変更済みで、今から設備だけを買う案件には使えません。
代表者変更だけでは申請できない
法人では、代表者交代と所有権移転の双方が必要です。株式承継の場合、後継者が過半数の株式を取得することが基本です。父が全株式を保有したまま子を代表取締役にするだけでは、所有権まで移ったとはいえません。
株式の贈与・譲渡には税負担が関係します。補助金の日程だけで移転日を決めず、株価、贈与税・譲渡所得、事業承継税制、金融機関の個人保証まで含めて設計します。
後継者の親族要件と経験要件
親族の後継者は、対象会社で3年以上勤務していない場合でも候補となり得ますが、対象会社の代表者になった経験がないことなどを確認します。親族関係は戸籍、代表経験は登記で裏付けます。親族以外の後継者なら、役員経験3年以上、継続雇用3年以上、または両者の通算3年以上などの要件を確認します。
補助対象になる投資の考え方
承継後の生産性向上に必要な機械、店舗改装、システム等が候補です。株式取得代金、土地購入費、承継によって引き継ぐ中古設備の取得対価は、新規投資と分けます。
製造会社なら、先代の技術と顧客を引き継ぎ、新設備で外注工程を内製化する計画が考えられます。現在の外注費、不良率、納期、月間生産量と導入後の数値を比較します。
補助率と上限
小規模事業者等は3分の2以内、それ以外の中小企業者等は2分の1以内です。下限100万円、通常上限800万円で、所定の賃上げ要件を満たす場合は1,000万円まで引き上げられます。800万円超1,000万円以下の部分は2分の1以内です。
申請から承継完了までの順序
GビズID(法人・個人事業主が複数の行政サービスへログインするための共通認証アカウント)取得、認定経営革新等支援機関の確認、公募申請、採択、交付申請、交付決定(採択後の経費確認を経て、補助事業へ着手できることを事務局が正式に決めること)、設備発注、納品・支払、実績報告(補助事業の実施内容と支出証拠を事務局へ提出する手続)の順に進みます。採択通知だけでは発注できません。代表者変更、株式移転、設備発注の3本の工程を一枚にまとめてください。
親族内承継で準備する資料
履歴事項全部証明書、定款、株主名簿、承継前後の株主構成図、後継者との親族関係資料、決算書、見積書、5年間の数値計画を用意します。株式移転の契約書案や株主総会・取締役会の予定も整理すると、承継の実行可能性を説明しやすくなります。
よくある失敗
代表者を先に変更して申請締切前に承継を完了させる、父名義で設備を発注する、採択後すぐ工事を始める、株式移転の税負担を計算していない、といった失敗があります。設備の見積より先に、誰がいつ経営権・所有権を取得するかを確定します。
申請者の適格性を先に確認する
法人は原則として3期分の決算・申告が完了している必要があります。個人事業主は青色申告者であり、開業届と青色申告承認申請書の提出から5年以上経過しているか確認します。資本金・従業員数が中小企業者の範囲内でも、みなし大企業(中小企業でも大企業の出資や役員支配などにより、補助金上は大企業に準じて扱われる事業者)、直近3年の課税所得年平均15億円超、一定の大企業100%子会社などは対象外です。
過去に経営資源引継ぎ補助金や事業承継・引継ぎ補助金を受給した事業者は、事業化状況報告(補助事業終了後の売上や雇用などの効果を、所定の時期に事務局へ報告する手続)を期限までに提出している必要があります。過去案件を別担当者が管理していた場合も、Jグランツ(国や自治体の補助金をオンラインで申請する電子申請システム)と社内資料を確認します。
5年間の事業計画を数字で作る
付加価値額(企業が事業活動によって新たに生み出した価値を表す指標)または従業員一人当たり付加価値額を年平均3%以上伸ばす計画が必要です。売上高の伸びだけでは要件を説明できません。営業利益、人件費、減価償却費の変化を設備投資の効果とつなぎます。
製造業なら時間当たり生産数、外注費、不良率、納期短縮を使います。店舗なら客数、客単価、回転率、提供時間、粗利率を使います。システムなら入力時間、締め日数、在庫差異、受注処理件数を測ります。基準年度の実績から計算式を残し、認定経営革新等支援機関の確認を受けます。
採択後の交付申請で減額されないために
採択は補助金額の確定ではありません。交付申請で見積、相見積(同じ条件について複数の事業者から見積書を取り、価格や内容を比較すること)、仕様、対象経費が審査されます。交付決定前に契約・発注・作業開始・申込金支払を行わず、交付決定後に実行します。
実績報告では、見積、発注、納品、検収、請求、振込、写真・成果物を同じ経費番号で管理します。申請者以外の名義による支払、現金払い、相殺、補助事業期間後のカード引落しは、確認に時間がかかり減額要因にもなります。
親族内承継のFAQ
株式は一度に全部移す必要がありますか?
少なくとも後継者が過半数を取得し、実質的な所有権と経営権を持つ計画が必要です。段階移転の場合は申請締切後5年以内の工程と、先代に残る議決権を示します。
兄弟で株式を分けてもよいですか?
後継者が過半数を確保できるかが重要です。遺留分、相続、少数株主との関係も含めて株主構成を設計します。
採択前に贈与契約を結べますか?
承継対象期間と申請要件へ影響するため、代表者変更・株式移転の契約時期を個別に確認します。設備の契約・発注は交付決定後です。
## 関連する実務をさらに具体化
事業承継・M&A補助金は、承継前後の設備投資、M&A専門家への費用、M&A後のPMI(M&A成立後に、経営・業務・人事・システム等を統合する取組)、廃業と再挑戦を支援する国の制度です。2026年10月20日現在、16次公募は2026年10月2日から11月6日17時まで受け付けられています。
親族内承継で最初に押さえるポイント
株式や事業の承継だけでなく、後継者が実施する設備投資と生産性向上を具体化します。贈与税・相続税の制度とは別に検討します。
国の制度には事業承継促進枠、専門家活用枠、PMI推進枠、廃業・再チャレンジ枠があります。経費の名前だけで枠を選ばず、誰が、いつ、どの方法で承継し、何のために支払うかで判断します。
具体例
奈良県内の会社が後継者へ経営を引き継ぎ、老朽設備を更新する場合は、承継日と設備の交付決定後発注が両立する工程を作ります。第三者M&Aで仲介会社へ依頼する場合は、売り手・買い手、契約類型、登録支援機関(特定技能1号の外国人に必要な支援を、受入れ企業から委託されて行う登録事業者)、着手金・中間金・成功報酬の発生日を整理します。M&A後のシステム統合なら、専門家活用枠ではなくPMI推進枠が適切かを検討します。
16次公募のスケジュール
| 工程 | 予定 |
|---|---|
| 公募申請 | 2026年10月2日〜11月6日17時 |
| 採択 | 2026年12月下旬以降順次 |
| 交付申請 | 2027年1月上旬〜11月中旬予定 |
| 交付決定 | 2027年1月下旬以降順次 |
| 事業実施 | 交付決定日〜2028年3月中旬予定 |
| 実績報告 | 2027年6月上旬〜2028年3月下旬予定 |
公募回ごとに要件・上限・様式が変わるため、過去記事の数字をそのまま使わず16次の該当枠公募要領(補助金の対象者、経費、期限、申請方法などを定めた公式ルール)で確認します。
申請前に整理する情報
申請者、承継相手、承継方法、契約予定日、経費を支払う主体、補助事業完了予定日を一枚の工程表にします。株式譲渡、事業譲渡、親族内承継、従業員承継では必要資料と申請枠が異なります。
| 確認項目 | 書き出す内容 |
|---|---|
| 承継方法 | 株式譲渡、事業譲渡、親族内、従業員承継等 |
| 立場 | 売り手、買い手、承継者、被承継者 |
| 実施日 | 基本合意、最終契約、クロージング、代表者交代 |
| 経費 | 支払先、見積額、契約日、支払日、成果物 |
| 資金 | 自己資金、融資、補助金入金までの立替 |
対象可否を判断する順番
第一に申請者が中小企業者等の要件を満たすか、第二に予定する承継・M&Aが該当枠の対象となるか、第三に支出予定の費用が対象経費か、第四に全工程を補助事業期間内に完了できるかを確認します。いずれか一つだけ満たしても申請できません。
M&Aの場合は、株式譲渡か事業譲渡か、最終契約前か成立後か、売り手と買い手のどちらが費用を負担するかを確認します。親族内・従業員承継では、代表者交代だけでなく、経営権の移転と承継後の取組を資料で説明できる状態にします。
経費を見積書へ落とす方法
見積書の「コンサルティング一式」「システム一式」だけでは、必要性と対象範囲を判断しにくくなります。業務名、実施期間、作業工程、担当者、成果物、数量、単価を分けます。
| 経費の例 | 見積書で明確にする内容 |
|---|---|
| 仲介・FA | 着手金、中間金、成功報酬、算定基準 |
| DD | 財務・法務・税務・労務等の調査範囲と報告書 |
| PMI支援 | 現状分析、統合計画、会議支援、成果物 |
| 設備・システム | 型番、数量、設置費、設定費、使用目的 |
| 廃業費 | 原状回復範囲、処分数量、登記等の手続内容 |
申請時の見積と実際の契約が変わる場合は、契約前に変更承認等の要否を確認します。値引きや支払先変更であっても、報告時に説明できる記録を残します。
申請資料の実務チェックリスト
- GビズIDプライムの利用準備
- 直近決算書・確定申告書
- 法人登記、株主・役員情報
- 承継当事者と関係性が分かる資料
- M&A契約、基本合意、仲介契約等の予定
- 補助対象経費の見積書・相見積
- 資金調達と立替資金の計画
- 承継前後の組織図・従業員数
- 売上、粗利、付加価値額等の数値計画
- 設備・専門家業務の必要性と成果物
書類の名称だけをそろえるのではなく、申請フォームの数字、決算書、見積書、事業計画で金額と日付を一致させます。
交付決定後の管理表
補助対象経費(補助金の計算対象として公募要領で認められた支出)ごとに「交付決定額、契約日、発注日、納品日、検収日、請求日、支払日、証拠ファイル名」を一覧化します。銀行振込の名義と申請者が異なる場合、クレジットカードの引落しが事業期間後になる場合、複数案件が一枚の請求書に混在する場合は、支払前に事務局へ確認します。
成果物は最終版だけでなく、納品メール、会議記録、検収書も保管します。専門家業務では報告書の内容が契約した業務範囲と対応しているか、設備では型番・設置場所・稼働状況が分かる写真を残します。
補助金を前提にM&A日程を組む際の注意
補助金は後払いです。採択されても交付決定まで契約できない経費があり、審査や補正に要する期間も確定ではありません。M&Aの基本合意、独占交渉期間、融資実行、クロージング(M&A契約に基づき、株式や事業の引渡しと代金決済を完了すること)期限が先に固定されている場合、補助金の工程と両立するかを契約前に検証します。
補助金が不採択または対象外になってもM&Aを実行するのか、経費を縮小するのか、自己資金で全額負担するのかを決めておくと、相手方との交渉が補助金結果だけで停止することを防げます。
申請から補助金入金までの流れ
- GビズIDと申請資料を準備する
- Jグランツで公募申請する
- 採択結果を確認する
- 交付申請を行い、交付決定を受ける
- 交付決定後に契約・発注する
- 補助事業期間内に納品・検収・支払を完了する
- 証拠書類と成果物を添えて実績報告する
- 確定検査と補正へ対応する
- 補助金額確定後に請求し、入金を受ける
採択だけでは補助対象経費を発注できません。交付決定前の契約・発注・支払を避け、実績報告で追跡できるよう、見積から振込まで同じ案件名・金額で管理します。
実績報告で必要になる証拠
見積書、相見積、契約書、発注書、納品書、検収記録、請求書、銀行振込記録、成果物を経費ごとにひも付けます。現金払いや相殺、補助対象外経費との一括請求は確認が難しくなるため、支払前に処理方法を決めます。
計画変更、支払先変更、金額の大幅変更、事業期間内に完了できない見込みが出た場合は、実施後ではなく事前に変更承認等の要否を確認します。
実務詳説|よくある失敗
- GビズIDの取得を締切直前に始める
- 採択通知後、交付決定前に契約する
- M&A契約の当事者と経費の支払者が一致しない
- 見積書の「業務一式」で内容を説明できない
- 成果物や検収記録を残していない
- 補助金入金までの立替資金を確保していない
- 変更を事後報告で済ませようとする
奈良総合事務所が支援できること
行政書士法人奈良総合事務所では、対象枠の整理、申請スケジュール、必要書類、事業計画、電子申請、採択後の交付申請、実績報告まで一貫して支援します。M&A契約や税務・法務の専門判断が必要な部分は、関係専門家と役割を分けて進めます。
制度を選ぶ前に作る「承継工程表」
補助金の検討は、費用の見積からではなく承継工程から始めます。申請者、相手方、承継方法、基本合意、最終契約、クロージング、代表者変更、設備導入、支払、実績報告を一枚に並べます。株式譲渡なら株主が変わり、事業譲渡なら資産・契約・許認可を個別に移すため、同じM&Aでも必要資料と実行期間が異なります。
| 工程 | 決める内容 | 補助金上の確認 |
|---|---|---|
| 方針決定 | 親族内、従業員、第三者M&A | 申請枠と当事者 |
| 専門家選定 | FA、仲介、DD、PMI | 登録支援機関、契約範囲 |
| 条件交渉 | 価格、対象資産、従業員、許認可 | 補助対象外費用との区分 |
| 交付決定 | 発注可能日を確認 | 決定前の契約・発注を避ける |
| 実行 | 納品、検収、クロージング | 期間内完了と証拠保存 |
| 報告 | 経費・成果・支払を報告 | 証拠の対応関係 |
承継日を先に固定してから補助金へ合わせようとすると、交付決定前の契約や事業期間外の支払が生じます。補助金を使う経費と、M&Aを予定どおり進めるため自己資金で負担する経費を最初から分けます。
申請から入金までの全工程
- GビズIDプライムを準備する
- 公募要領、FAQ、申請フォームを確認する
- 承継関係資料、決算、見積、事業計画を作成する
- Jグランツで公募申請する
- 採択結果を確認する
- 採択後に交付申請を行う
- 交付決定通知を受ける
- 交付決定後に契約・発注する
- 補助事業期間内に納品・検収・支払を完了する
- 実績報告を提出し、補正と確定検査へ対応する
- 補助金額の確定後に請求する
- 入金後の事業化状況報告等を管理する
採択通知は事業計画が採択された通知であり、発注許可ではありません。交付申請で見積や経費内容が確認され、交付決定後に初めて対象経費へ着手します。契約書の日付だけを交付決定後にしても、先に口頭発注、申込金支払、作業開始をしていれば対象外となる可能性があります。
第16次公募の日程
2026年10月20日時点の公式サイトでは、公募申請は2026年10月2日から11月6日17時まで、採択は12月下旬以降順次とされています。交付申請は2027年1月上旬から11月中旬、交付決定は2027年1月下旬以降、事業実施は交付決定から2028年3月中旬、実績報告は2027年6月上旬から2028年3月下旬の予定です。
予定日は変更される可能性があります。自社の契約期限、融資実行、クロージング、設備納期を公式日程と照合し、締切当日の申請を避けます。
事業計画を具体化する方法
計画書では「事業承継で会社を成長させる」だけでは足りません。現経営者の年齢、後継者選定の経緯、承継対象、現在の課題、投資や専門家支援が必要な理由、実施後の売上・粗利・付加価値、雇用への効果をつなぎます。
たとえば製造会社が後継者へ承継して加工設備を導入するなら、現設備の能力、外注費、不良率、納期、新設備の処理能力、内製化額、受注見込みを数値で示します。M&Aの買い手がDD(M&Aの前に対象企業の財務・法務・事業等を調べるデュー・ディリジェンス)を行うなら、対象会社の財務・法務・労務リスクを把握し、適正価格と統合計画へ反映する必要性を説明します。
見積書と契約書を「一式」にしない
見積書は業務名、作業工程、期間、担当者、数量、単価、成果物を分けます。仲介費用なら着手金・中間金・成功報酬と算定基準、DDなら財務・法務・税務・労務等の調査範囲、PMIなら現状分析・統合計画・会議支援、設備なら型番・数量・設置費を明示します。
「M&A支援一式」「コンサルティング一式」では対象範囲を確認できません。契約書、見積書、請求書、成果物の業務名を一致させます。申請時と契約時で支払先や内容が変わる場合は、契約前に変更承認等の要否を確認します。
株式譲渡と事業譲渡で変わる確認資料
株式譲渡では対象会社の法人格、契約、許認可、従業員関係が原則として会社に残ったまま株主が変わります。申請では株主構成、譲渡株式数、譲渡前後の議決権、最終契約日、クロージング日を整理します。買い手が対象会社の株主から株式を取得するため、補助金申請者と仲介・DD費用の契約者、請求先、支払元が一致しているか確認します。
事業譲渡では、譲渡対象の設備、在庫、顧客契約、従業員、知的財産、許認可を個別に特定します。何を引き継ぎ、何を売り手へ残すかが曖昧だと、承継の実態と補助対象事業の説明が一致しません。譲受会社が設備を新設する場合も、譲渡対象資産の取得対価と、新たに発注する補助対象設備を区分します。
許認可事業を承継する場合
建設業、宅建業、酒類、運送、介護などの許認可は、株式譲渡と事業譲渡で扱いが大きく異なります。株式譲渡では法人格が同じでも役員変更や欠格要件の確認が必要です。事業譲渡では譲受側が新規許可を取得しなければ営業できない場合があります。
許認可の取得日が遅れると、承継後に売上を立てられず、補助事業計画も実行できません。M&A契約へ許認可取得を前提条件として入れるか、申請準備をいつ始めるか、行政庁への事前相談を工程表へ組み込みます。
法人の具体例|父から子へ承継する製造会社
父が代表取締役で株式80%を持ち、子が取締役として5年間勤務している会社を想定します。第16次申請後5年以内に子が代表取締役へ就任し、父から株式の過半数を取得します。子が主導して新しい加工設備を導入し、外注工程を内製化します。
計画には現在の外注費、月間加工件数、不良率、納期、設備導入後の処理能力、人員配置を記載します。代表者交代日、株式移転日、設備の交付決定後発注、納品、支払を工程表へ入れます。株式取得代金は設備投資の補助対象経費とは分けます。
対象経費の条件
対象経費は、補助事業の遂行に必要と特定できること、補助事業期間内に契約・発注し支払うこと、実績報告の証拠で金額・支払を確認できることが必要です。見積、契約・発注、納品・検収、支払の順序を守ります。
公募申請時は見積書の提出が必須ではありませんが、概算申請額が経費の上限になるため、可能な限り事前に見積を取ります。採択後の交付申請では見積書が必要です。税抜額で申請します。
承継資産の購入費は対象外
被承継者から引き継ぐ土地、建物、機械、在庫等の購入代金は補助対象ではありません。事業承継促進枠は、承継そのものの対価ではなく、後継者が実施する生産性向上の取組を支援します。
承継後も被承継者へ賃借料を支払い続ける場合、その賃借料が対象外になるだけでなく、所有権移転を含む実質的承継が完了していないと見なされる可能性があります。承継契約と補助事業計画を別々に作らず整合させます。
賃上げによる上限引上げ
一定の賃上げを前提に補助上限の引上げを受ける場合、補助事業完了日を含む事業年度と、その翌年度の従業員一人当たり給与支給総額(給料や賞与など、企業が従業員へ支給する給与の合計額)を比較し、3%以上の上昇が必要です。申請時に目標を従業員へ表明します。
未達の場合、上限が1,000万円から800万円へ減額され、最大200万円の返還を求められる旨がFAQ(よく寄せられる質問と回答をまとめたもの)に示されています。人数の増減、賞与、役員、非常勤をどのように集計するかを賃金台帳で管理します。
実績報告で確認される日付
見積日、契約・発注日、納品日、検収日、請求日、支払日を一覧にし、すべて補助事業期間へ入っているか確認します。支払証憑は振込受領書、振込完了が分かるウェブ画面、領収書等です。
設備では写真、型番、設置場所、稼働確認、固定資産台帳を残します。店舗改装では工事前後写真、図面、工事内訳、完了届、検収記録を保存します。事業期間に間に合わない場合、原則は交付決定取消しとなり、天災等の責任によらない事情について承認を得た場合に限り延長の可能性があります。
奈良総合事務所への相談
行政書士法人奈良総合事務所では、奈良県を中心に全国から事業承継・M&A補助金のご相談をオンラインで受け付けています。申請枠の判定、必要書類、事業計画、Jグランツ申請、採択後の交付申請、実績報告まで一貫して支援します。
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