行政書士法人奈良総合事務所
補助金

【まとめ版】小規模事業者持続化補助金 第20回は何が変わった?第19回との変更点を補助金専門の行政書士が徹底比較

小規模事業者持続化補助金の第20回公募では、第19回と比べて、申請後の実務に大きく影響するルール変更が行われました。基本の補助率や通常枠の上限額だけを見ると制度はほぼ同じに見えますが、賃金引上げ特例の判定方法、広報費とウェブサイト関連費の区分・上限、相見積(同じ条件について複数の事業者から見積書を取り、価格や内容を比較すること)が必要となる金額、過去採択事業者の再申請条件は、そのまま読み替えることができません。

特に重要なのが賃金引上げ特例です。第19回までは「事業場内最低賃金(同じ事業場で働く従業員に実際に支払う時間給のうち最も低い金額)を申請時から50円以上引き上げる」という、最低賃金の従業員を基準にした判定でした。第20回では「従業員1人あたり給与支給総額(給料や賞与など、企業が従業員へ支給する給与の合計額)を年平均3.0%以上増加させる」という、年間の給与・残業代・賞与などを含む指標へ変わります。対象となる従業員、比較期間、パートタイム従業員の換算、退職や中途採用の扱いまで確認しなければ、達成できるか判断できません。

また、SNS(インターネット上で利用者同士が情報を発信・交流するサービス)広告やインターネット広告は、従来のウェブサイト関連費から広報費へ移りました。広報費とウェブサイト関連費には、それぞれ補助金交付申請額30万円の上限が設定され、広報費だけの申請もできなくなっています。広告とホームページ制作を一括で見積もっている場合、区分の整理を誤ると申請額の再計算が必要になる可能性があります。

この記事では、第19回公募要領(補助金の対象者、経費、期限、申請方法などを定めた公式ルール)第6版と第20回公募要領第8版を直接比較し、変更点を実務に落とし込んで解説します。「持続化補助金の変更点を知りたい」「賃上げ特例を使えるか試算したい」「広告やウェブ制作にいくら使えるのか知りたい」という事業者の方は、申請計画を固める前にご確認ください。

本記事は2026年9月28日時点で、第19回公募要領第6版および第20回公募要領第8版を比較したものです。 制度の適用は申請回、事業者の状況、今後公表される参考資料や補助事業の手引きによって変わる場合があります。申請時には必ず最新資料をご確認ください。

第19回と第20回の変更点を比較表で確認

まず、主な変更点を一覧で確認します。補助率2分の3、通常枠の補助上限50万円、インボイス特例50万円上乗せ、賃金引上げ特例150万円上乗せという基本構造は維持されています。一方、特例を利用するための条件や、経費の使い方は大きく変わりました。

比較項目 第19回 第20回 実務上の影響
通常枠の補助上限・補助率 上限50万円、補助率2/3 上限50万円、補助率2/3 基本構造は維持
賃金引上げ特例の上乗せ 150万円 150万円 金額は同じだが要件が大幅変更
賃金引上げ特例の基準 事業場内最低賃金を申請時より50円以上引上げ 従業員1人あたり給与支給総額を年平均3.0%以上増加 最低時給1人の比較から、年間給与と人数を用いる全体指標へ変更
賃金の比較期間 申請時と補助事業終了時の最低賃金 2026年4月1日~2027年3月31日と、2027年4月1日~2028年3月31日を比較 第20回の補助事業実施期限は2028年3月31日。2年間分の賃金・人数管理が必要
賃金台帳 原則として申請時と終了時の直近1か月分 採択後交付決定までと実績報告時に、それぞれ指定された12か月分 書類量と計算負担が増加
広報費の上限 区分固有の30万円上限なし 補助金交付申請額30万円(税込) 広告中心の計画は配分見直しが必要
広報費だけの申請 区分上、単独申請を明示的に禁止する記載なし 広報費だけの申請は不可 他の対象経費との組合せが必要
インターネット広告・SNS広告 ウェブサイト関連費 広報費 見積書と経費明細の区分変更が必要
ウェブサイト関連費の上限 補助金交付申請額の1/4、最大50万円 補助金交付申請額30万円(税込) 少額申請では使いやすくなる場合がある一方、特例利用時は上限が低くなる場合もある
ウェブサイト関連費だけの申請 不可 不可 単独申請禁止は継続
相見積の基準 1件あたり100万円(税込)超の機械装置等など 発注総額1件あたり50万円(税込)超 より多くの設備・外注案件で2者以上の見積が必要
過去採択者の再申請 所定期間経過と事業効果等状況報告の完了 従来条件を維持。さらに第20回で採択・実施した事業者の次回申請には報告完了後さらに1年経過が必要 「第20回へ申請する条件」と「第20回採択後の次回申請条件」を分けて確認
売上・利益の成果 審査上、販路開拓とのつながりを説明 状況報告時の売上高・売上総利益が終了時より増加する見込みを要件化 数値根拠を申請時から準備
新商品開発費 試作品等の開発 テストマーケティング・市場調査の結果を踏まえる、または伴う開発 開発だけでなく需要検証の計画・記録が重要

変更点は「厳しくなった」「使いやすくなった」のどちらか一方では整理できません。たとえばウェブサイト関連費は、全体申請額の4分の1という連動上限がなくなったため、通常枠50万円の小規模な計画では使える枠が広がる場合があります。一方、賃金引上げ特例を利用して全体の申請額が大きい計画では、固定30万円の上限が従来より小さくなる場合があります。自社の申請額と経費構成に当てはめて判断する必要があります。

最重要変更:賃金引上げ特例が「最低賃金+50円」から「1人あたり給与支給総額3%増」へ

第20回の変更点の中で、最も慎重な検討が必要なのが賃金引上げ特例です。補助上限を150万円上乗せできるため魅力は大きい一方、要件を達成できなかった場合は上乗せ部分だけではなく、通常枠を含む補助金全体が交付されない可能性があります。

第19回までの考え方:事業場内最低賃金を50円以上引き上げる

第19回では、補助事業終了時点の事業場内最低賃金を、申請時の事業場内最低賃金より50円以上引き上げることが要件でした。

「事業場内最低賃金」とは、事業場で雇用している対象従業員のうち、最も低い時間当たり賃金です。月給者についても、所定労働時間を使って時間額へ換算します。単純に月給額だけを見たり、地域別最低賃金との差額だけを見たりするものではありません。

たとえば、申請時点で対象従業員Aの時間額が1,100円、Bが1,180円、Cが1,300円なら、事業場内最低賃金は1,100円です。終了時にAを1,150円以上へ引き上げ、他の従業員を含めて新たな最低額も要件を満たしていれば、50円以上の引上げを確認できる可能性があります。

ただし、第19回でも「最低賃金の人だけ形式上50円上げれば必ずよい」という単純な運用ではありません。最低賃金の対象者が退職した場合は次点の従業員が判定対象となり、役員や一定の親族従業員など算定に含めない人の扱い、基本給と歩合給の扱い、地域別最低賃金以上であることなどの条件がありました。申請時と実績報告(補助事業の実施内容と支出証拠を事務局へ提出する手続)時には、原則として全対象従業員の直近1か月分の賃金台帳、雇用契約書・労働条件通知書等を用いて確認していました。

第20回の考え方:従業員1人あたり給与支給総額を年平均3.0%以上増やす

第20回では、判定指標そのものが変わります。補助事業実施期限日を終点とする連続12か月と、その前年同月の12か月を比較し、従業員1人あたり給与支給総額を年平均3.0%以上増加させる必要があります。

ここでいう「補助事業実施期限日」とは、第20回の補助対象事業を実施できる最終日である2028年3月31日のことです。補助事業期間は交付決定(採択後の経費確認を経て、補助事業へ着手できることを事務局が正式に決めること)日から2028年3月31日までで、賃金引上げ特例を利用する事業者は、補助事業終了予定日を2028年3月31日に設定します。

つまり、「自社が設備の購入や改装を終えた任意の日から過去12か月を比べる」という意味ではありません。第20回の賃金引上げ特例では、制度上定められた最終日である2028年3月31日を基準として、次の二つの12か月を比較します。

第20回公募要領では、補助事業実施期限が2028年3月31日とされ、賃金引上げ特例を利用する場合は補助事業終了予定日をこの期限日に設定します。比較の基本イメージは次のとおりです。

区分 対象期間のイメージ 確認する内容
基準期間 2026年4月1日~2027年3月31日 賃上げ前として扱う12か月の給与支給総額と従業員数
引上げ後期間 2027年4月1日~2028年3月31日 賃上げ後として扱う12か月の給与支給総額と従業員数
達成基準 引上げ後期間÷基準期間 1人あたり給与支給総額が3.0%以上増加

たとえば、基準期間である2026年4月1日から2027年3月31日までの1人あたり給与支給総額が300万円だった場合、第20回で必要となる目標額は次のように計算します。

300万円 × 1.03 = 309万円

したがって、引上げ後期間である2027年4月1日から2028年3月31日までの1人あたり給与支給総額を、309万円以上にする必要があります。

別の例として、基準期間の給与支給総額が1,200万円、換算後の対象従業員数が4人なら、1人あたり給与支給総額は300万円です。引上げ後期間の対象従業員数も4人であれば、給与支給総額は少なくとも1,236万円必要です。

1,200万円 ÷ 4人 = 300万円

300万円 × 1.03 = 309万円

309万円 × 4人 = 1,236万円

ただし、実際の計算では対象従業員の在籍状況、パートタイム従業員の人数換算、賞与や残業代なども反映します。単純に会社全体の給与総額を1,236万円へ増やせば必ず達成できるわけではありません。

ここで注意したいのは、「全従業員の給与総額を3%増やせばよい」とも、「各従業員を一律3%昇給させればよい」とも限らない点です。公募要領が見るのは、各期間の給与支給総額と、ルールに従って算出した従業員数を用いる1人あたり給与支給総額です。従業員の増減、パートタイム比率、残業や賞与の変動によって結果が変わります。

1人あたり給与支給総額の基本計算

理解のために単純化すると、計算の骨格は次のようになります。

1人あたり給与支給総額 = 対象期間の給与支給総額 ÷ 対象従業員数

上昇率 =(引上げ後の1人あたり給与支給総額 ÷ 基準期間の1人あたり給与支給総額 − 1)×100

たとえば、基準期間の対象給与支給総額が1,200万円、換算後の従業員数が4人なら、1人あたりは300万円です。引上げ後期間が1,248万円で従業員数が同じ4人なら、1人あたり312万円で、上昇率は4%となります。

ところが、引上げ後の給与支給総額が1,300万円へ増えても、対象従業員数が4人から5人へ増えれば、1人あたりは260万円です。会社全体の人件費は増えているのに、1人あたり指標では減少する例もあり得ます。

逆に、基準期間の給与支給総額が1,200万円、対象従業員数が4人で、1人あたり300万円だった事業者を考えます。引上げ後期間に対象従業員数が3人となり、給与支給総額が960万円へ減った場合、1人あたり給与支給総額は320万円です。

基準期間:1,200万円 ÷ 4人 = 300万円

引上げ後期間:960万円 ÷ 3人 = 320万円

上昇率:(320万円 ÷ 300万円 − 1)×100 = 約6.7%

この例では、会社全体の給与支給総額は1,200万円から960万円へ減っていますが、1人あたりの数値は約6.7%増えています。ただし、これは人数変動が指標へ与える影響を説明するための単純な計算例です。人員を減らせば賃金引上げ特例を利用できるという意味ではありません。

第20回では、各比較期間の全月分の給与支給を受けた従業員を算定対象とし、中途退職者などの扱いにも条件があります。実績報告時までに従業員が退職するなどして1人あたり給与支給総額を算出できなくなった場合は、補助金が交付されない可能性もあります。従業員の算定対象、各期間を通じた在籍状況、実際の賃上げ内容を確認したうえで判断しなければなりません。

このため、特例を選ぶ前には、現在の昇給方針だけでなく、採用計画、退職見込み、パートタイム従業員の勤務時間、賞与、残業時間、休業予定まで含めた試算が必要です。

給与支給総額に含まれるもの・含まれないもの

第20回公募要領では、給与支給総額は従業員に支払った給与等を指し、給料、賃金、残業代、賞与等を含むとされています。一方、福利厚生費、法定福利費、退職金は除かれます。

給与支給総額に含まれる主なもの 原則として含まれない主なもの
給料・基本給 福利厚生費
賃金 法定福利費
残業代 退職金
賞与 役員・専従者への支給分

給与計算ソフトの「人件費」や決算書の勘定科目をそのまま使えばよいとは限りません。社会保険料の会社負担分や退職金が合算されている資料では、公募要領の定義に合わせて切り分ける必要があります。

また、賞与や残業代が含まれるため、基本給を3%上げても、残業時間や賞与が大きく減れば、1人あたり給与支給総額の3%増を達成できない可能性があります。反対に、残業増だけに依存して目標を組むことは、労務管理や事業の持続性の観点から適切とはいえません。固定的な賃金改善と事業の収益計画を結び付けて検討することが重要です。

対象となる従業員と、12か月在籍の考え方

第20回では、比較する各12か月の期間について、全月分の給与等の支給を受けた従業員を算出対象とします。中途採用や退職などにより、いずれかの期間で全月分の給与を受けていない従業員は、その期間の算出対象から除外されます。

このルールは、従業員の入れ替わりがある事業者にとって大きな注意点です。採択時点では対象者がいても、実績報告時までの退職等により1人あたり給与支給総額を算出できなくなれば、特例の対象外となる場合があります。比較対象期間のいずれかの月で算定対象者が存在しない場合も、数値を算出できないため特例を利用できません。

産前・産後休業、育児休業、介護休業など、事業者の福利厚生等により時短勤務を行っている従業員は、算出対象から除外できる場合があります。個々の雇用状態を一覧にし、どの従業員をどの期間へ算入するのかを、賃金台帳と雇用条件が一致する形で管理する必要があります。

パートタイム従業員は正社員の所定労働時間へ換算

パートタイム従業員を単純に「1人」と数えるわけではありません。正社員の就業時間に換算して人数を算出します。

公募要領の例では、正社員が1日7時間・週35時間、パートタイム従業員が1日3時間・週15時間勤務の場合、3÷7の小数点以下第3位を切り捨て、0.42人として計算します。

パートタイム従業員の勤務時間が月によって大きく変わる事業者は、換算人数が指標へどう影響するかを早めに確認してください。「時給を上げたから達成」とは限らず、勤務時間、人数、支給総額の組合せで判断されます。

申請時ではなく、採択後から実績報告まで書類管理が続く

第20回の賃金引上げ特例では、申請者が1人あたり給与支給総額を3%以上引き上げる目標値を設定し、採択後交付決定までに全従業員または従業員代表者、役員へ表明することが必要です。

採択後交付決定までには、採択発表日の属する月を終点とした連続12か月分の賃金台帳と、雇用条件が分かる書類を提出します。実績報告時には、補助事業実施期限日を終点とした連続12か月分の賃金台帳と、賃金引上げ後の雇用条件が分かる書類を提出します。役員・専従者従業員を除く全従業員分が対象です。

したがって、申請締切直前に「特例を付けた方が上限が増える」と判断するのは危険です。採択後に必要となる過去の賃金台帳が揃うか、雇用契約書や労働条件通知書の内容が実態と一致しているか、給与計算の変更履歴を説明できるかを先に確認しましょう。

賃金引上げ特例の運用イメージ

実務では、次の順序で判断すると整理しやすくなります。

  1. 役員・専従者を除く従業員を一覧にする。
  2. 基準期間と引上げ後期間の全月で給与支給を受ける見込みの人を確認する。
  3. パートタイム従業員は正社員の所定労働時間へ換算する。
  4. 給料・賃金・残業代・賞与を集計し、法定福利費や退職金などを除く。
  5. 採用、退職、休業、時短勤務、残業、賞与の変動を複数パターンで試算する。
  6. 3%ぎりぎりではなく、変動に耐えられる目標を設定する。
  7. 賃上げ後も利益と資金繰りを維持できるか確認する。
  8. 採択後の表明、賃金台帳、雇用条件書類を管理する担当者を決める。

たとえば飲食店で、正社員2人と短時間勤務者4人を雇用している場合、繁忙期の残業、賞与、勤務シフトの増減により1人あたり給与支給総額が動きます。正社員だけを3%昇給する試算、全員の時給・基本給を段階的に上げる試算、採用後の人数換算を加えた試算を並べ、どのケースでも達成できるか確認します。

製造業で増産のために新規採用する場合も、会社全体の給与総額が増えることと、1人あたり指標が3%上がることは別問題です。設備投資による生産性向上と賃上げ原資の創出を計画書でつなぎながら、人数増加を含めた計算を行います。

赤字事業者の補助率3/4は継続するが、要件達成リスクを優先して考える

賃金引上げ特例を利用する赤字事業者について、補助率を2分の3から4分の3へ引き上げる仕組みは第20回にもあります。ただし、補助率が高いという理由だけで特例を選ぶべきではありません。

赤字であれば、賃上げ後の固定費増加を吸収できる売上・粗利益の見込みがあるか、補助金が後払いであることを踏まえて資金を確保できるかを確認する必要があります。要件未達によって補助金全体が交付されないリスクと、賃上げを継続する経営負担の両方を比べて判断してください。

広報費とウェブサイト関連費はどう変わったのか

第20回では、広告・ウェブ施策の区分と上限が大きく組み替えられました。特に、SNS広告、リスティング広告、バナー広告などを予定する事業者は、第19回の見積区分をそのまま使わないよう注意が必要です。

第19回:ネット広告はウェブサイト関連費、上限は申請額の4分の1

第19回では、チラシ、カタログ、新聞・雑誌広告、看板などが広報費に整理され、ウェブや動画に関する広報費用はウェブサイト関連費へ計上する扱いでした。インターネット広告、バナー広告、SNS広告、広告運用代行、電子パンフレット、インターネット経由のDMなどもウェブサイト関連費の例として示されていました。

ウェブサイト関連費のみによる申請はできず、当該区分の補助金交付申請額は、全体の補助金交付申請額の4分の1、かつ最大50万円が上限でした。

通常枠のみで補助金50万円を申請する場合、ウェブサイト関連費として申請できる補助金額は最大12万5,000円です。賃金引上げ特例を利用して全体200万円を申請する場合は、4分の1の50万円が最大となります。

第20回:ネット広告・SNS広告は広報費へ移動

第20回では、広報費の定義に、パンフレット・ポスター・チラシに加えて、インターネット広告・SNS広告等が明記されました。対象例には、インターネット広告、バナー広告、インターネットでのプレスリリース配信、電子パンフレット、SNS広告、運用代行費などが挙げられています。

一方、自社ホームページやEC(インターネット上で商品やサービスを売買する電子商取引)サイトの制作・更新、システム開発、自社サイトに掲載する写真・動画制作などはウェブサイト関連費です。広告として外部媒体へ配信する画像・動画と、自社サイトに掲載する画像・動画では、同じ制作物に見えても用途によって区分が変わる可能性があります。

施策 第19回の主な区分 第20回の主な区分
紙のチラシ・カタログ 広報費 広報費
新聞・雑誌広告 広報費 広報費
インターネット広告・バナー広告 ウェブサイト関連費 広報費
SNS広告・運用代行 ウェブサイト関連費 広報費
インターネットでのプレスリリース ウェブサイト関連費 広報費
自社ホームページ・ECサイト制作 ウェブサイト関連費 ウェブサイト関連費
自社サイト掲載用の写真・動画 ウェブサイト関連費 ウェブサイト関連費
顧客管理システム・アプリ開発 ウェブサイト関連費 ウェブサイト関連費

広報費・ウェブサイト関連費はそれぞれ補助金額30万円が上限

第20回では、広報費とウェブサイト関連費のそれぞれについて、補助金交付申請額30万円(税込)が上限です。この30万円は、発注金額や補助対象経費(補助金の計算対象として公募要領で認められた支出)そのものではなく、区分ごとの補助金交付申請額の上限です。

基本補助率が3分の2で、すべて補助対象と認められる単純な例なら、税の扱いなどを別にして、補助対象経費45万円に3分の2を掛けると補助金額30万円になります。しかし、実際には免税事業者・課税事業者の消費税の扱い、対象外経費、値引き、補助率、全体上限も確認する必要があります。

広報費30万円とウェブサイト関連費30万円は別々の上限ですが、両区分を使えば必ず60万円受給できるという意味ではありません。通常枠だけなら全体上限は50万円です。全体上限、区分上限、補助率の三つを同時に満たす範囲で申請額が決まります。

「4分の1ルール廃止」は必ず有利とは限らない

第20回でウェブサイト関連費の「全体申請額の4分の1」という制限がなくなった点は、小規模な申請では利用しやすくなる可能性があります。

たとえば全体の補助金申請額が50万円なら、第19回のウェブサイト関連費上限は12万5,000円でした。第20回は30万円まで検討できるため、ホームページ改修へ配分できる補助金額が増える可能性があります。

一方、賃金引上げ特例によって全体200万円を申請する計画では、第19回はウェブサイト関連費を最大50万円まで計上できましたが、第20回は30万円です。このケースでは上限が下がります。したがって「4分の1ルールがなくなったから緩和」とだけ説明するのも、「30万円になったから一律に改悪」とだけ説明するのも正確ではありません。

広報費だけの申請はできない

第20回では、広報費のみによる申請はできないことが明記されました。ウェブサイト関連費だけの申請も引き続きできません。広告を配信するだけ、ホームページを作るだけという計画では、経費構成を再検討する必要があります。

ただし、申請形式を整えるためだけに不要な設備や外注を追加することは避けるべきです。補助事業の目的に必要な取組を組み合わせ、どの経費が販路開拓や生産性向上につながるのかを説明します。

たとえば、新商品の製造に必要な機械装置を導入し、商品の認知を広げるSNS広告を実施し、受注ページを改修する計画なら、設備・広告・ウェブサイトが一つの販売導線としてつながります。広告だけを使いたい場合は、持続化補助金へ無理に合わせるのではなく、自己資金での広告、自治体独自の支援策なども比較した方が合理的なことがあります。

広告会社・制作会社の一式見積は内訳を分ける

「ホームページ制作・広告運用一式100万円」という見積書では、広報費とウェブサイト関連費を正しく分けにくくなります。少なくとも、サイト設計、ページ制作、システム設定、写真撮影、広告クリエイティブ制作、広告媒体費、広告運用代行などの内訳を確認しましょう。

制作した画像を広告配信と自社サイトの両方に使う場合、費用の区分根拠を説明できるようにします。契約書、発注書、請求書、納品物でも内訳をそろえることが大切です。採択された後に区分の誤りが判明すると、交付申請の修正や対象経費の減額につながる場合があります。

相見積の基準は100万円超から50万円超へ

第20回では、発注先選定の相見積が必要となる基準が、発注総額1件あたり50万円超(税込)へ引き下げられました。2者以上から見積を取り、より安価な発注先を選ぶことが原則です。

第19回の公募要領では、機械装置等について1件あたり100万円(税込)超の場合に2者以上の見積が必要とされ、発注先選定の一般ルールでも100万円超を基準としていました。第20回は50万円超となるため、厨房機器、製造設備、店舗改装、システム開発、業務委託など、相見積が必要となる取引が増えます。

「50万円以上」ではなく「50万円超」

公募要領の表現は50万円超(税込)です。税込50万円ちょうどと、50万円を1円でも超える発注では扱いが異なり得ます。ただし、相見積が必須となる金額未満でも、価格の妥当性を示す見積書等は必要です。基準未満なら価格確認が不要という意味ではありません。

また、同一の設備や工事を形式的に分割して1件あたり50万円以下にすることは適切ではありません。契約の実態、発注先、目的、時期などから一体の取引と判断される可能性があります。見積は実際の発注単位に沿って取得してください。

安価な見積先を選べない場合

業務の性質上、複数の見積を取ることが困難な場合は、随意契約の対象とする理由書を採択発表後、交付決定までに提出する扱いがあります。しかし「いつも依頼している」「信頼できる知人だから」「見積取得が面倒」といった理由だけで認められるとは限りません。独自技術、既存システムとの不可分性、権利関係など、他社では実施できない具体的な事情を説明する必要があります。

中古品は金額にかかわらず2者以上の中古品販売事業者から同等品の見積取得が必要で、理由書による随意契約は認められない点にも注意してください。

採択後に慌てないための準備

相見積の正式提出は採択後交付決定までの手続であっても、申請前に候補先、仕様、納期、価格帯を確認しておくことが重要です。採択後に初めて別業者を探すと、同等仕様の見積が取れない、納期が間に合わない、当初計画の予算を超えるといった問題が起こります。

比較する見積書は、数量、型番、作業範囲、諸経費、納期、支払条件などをできるだけそろえます。仕様が大きく異なる2枚を並べても、価格の妥当性を説明しにくいからです。

注意:よくある案内の誤り|「過去採択者は全員、報告後さらに1年待つ」ではない

過去に持続化補助金を利用した事業者の再申請条件は、第20回の変更点の中でも特に誤った案内が散見される項目です。

「第20回から、過去に一度でも持続化補助金へ採択された事業者は、事業効果報告書の提出後さらに1年待たなければならない」という説明は正確ではありません。公募要領で追加された「報告完了後さらに1年」という条件には、対象が明記されています。対象となるのは、第20回公募で採択され、補助事業を実施した事業者が、その後もう一度申請する場合です。

ここを読み違えると、本来は第20回へ申請できる過去採択事業者へ「まだ1年待つ必要がある」と誤案内したり、反対に、第20回採択後の長い待機期間を見落としたりするおそれがあります。

結論:過去回の採択事業者が第20回へ申請する場合は、従来からの「事業終了月の翌月から1年経過+様式第14の提出完了」を確認します。「様式第14の提出完了後、さらに1年経過」という追加条件は、第20回で採択・実施した事業者が、その後に再申請する場合のルールです。採択日や補助金入金日を起点に一律で数える説明も正確ではありません。

第19回にも所定期間の経過要件はあった

第19回公募要領では、過去の一般型通常枠に採択され補助事業を実施した事業者について、事業実施期間終了日の属する月の翌月から1年間が経過し、事業効果および賃金引上げ等状況報告書の提出を完了している場合に申請できると記載されていました。

したがって、第19回までの条件を単に「報告書を提出していれば直ちに再申請できた」と説明するのは正確ではありません。少なくとも第19回第6版では、所定の1年経過と報告完了の双方が示されています。

過去回の採択事業者が第20回へ申請する場合

第20回公募要領でも、過去に対象となる四つの事業で採択・実施した事業者について、事業実施期間終了日の属する月の翌月から1年間が経過し、所定の事業効果および賃金引上げ等状況報告書の提出を完了していることが基本条件です。

過去の採択回、補助事業終了日、様式第14の提出状況、不備解消の状況を確認します。代表者が変わっていても過去の補助事業者に該当する場合があります。

第20回で採択・実施した事業者が「次回申請」する場合

第20回で新たに追加された重要な記載は、第20回公募で採択され補助事業を実施する事業者の、その後の再申請に関するものです。

公募要領では、事業実施期間終了日の属する月の翌月から1年間が経過し、事業効果および賃金引上げ等状況報告書の提出を完了した後、さらに1年が経過してから再度申請できるとされています。

流れを整理すると、次のイメージです。

  1. 第20回の補助事業を実施して終了する。
  2. 終了月の翌月から1年間が経過する。
  3. 指定された事業効果および賃金引上げ等状況報告を完了する。
  4. その報告完了後、さらに1年間が経過する。
  5. その後の公募回で再申請を検討する。

起点は単純な採択日、交付決定日、補助金の入金日ではありません。また、報告書を作成した日ではなく、提出完了として扱われる時点を確認する必要があります。将来の再申請時には、マイページの表示や事務局への確認を含め、日付を客観的に確認できる資料を保存しておくと安心です。

この追加ルールは、第20回を利用する事業者にとって「次もすぐ利用する」ことを難しくします。単年度で完結する一時的な支出ではなく、補助事業後も効果を継続させる計画が一段と重要になったといえます。

公募要領の文を主語ごとに分けると誤解を防げる

公募要領には、まず「過去に対象となる四つの事業で採択され補助事業を実施した事業者」に対する基本条件が書かれています。その後、別の注記として「なお、第20回公募において採択され補助事業を実施する事業者」について、報告完了後さらに1年が経過してから再度申請できると書かれています。

後半の注記だけを切り出して「過去採択者全員の条件が変更された」と要約すると、主語が入れ替わってしまいます。比較記事や専門家の解説を読む場合も、次の三点を確認してください。

  1. 誰が申請しようとしているのか。
  2. その事業者が採択されたのは第何回か。
  3. 今回確認しているのは第20回への申請条件か、第20回を利用した後の次回申請条件か。
確認する場面 主な条件 「報告後さらに1年」の扱い
第19回以前などの過去採択者が第20回へ申請 事業終了月の翌月から1年経過し、様式第14の提出を完了 この追加注記を一律には適用しない
第20回で初めて申請する事業者 第20回の通常の申請要件を確認 申請時点では過去事業の報告はない
第20回で採択・実施した事業者が将来再申請 事業終了月の翌月から1年経過、様式第14提出完了、その後さらに1年経過 適用される

この表は制度理解のための整理です。過去に創業型、コロナ特別対応型、低感染リスク型ビジネス枠、一般型通常枠など複数の採択歴がある場合は、それぞれの実施・報告状況を個別に確認してください。

売上高・売上総利益の増加見込みも第20回の重要変更

第20回では、事業効果および賃金引上げ等状況報告書を提出する時点の売上高・売上総利益が、補助事業終了時と比べて増加することが見込める事業であることが、補助対象事業の要件に追加されています。

申請時には、客観的なデータを使った市場・顧客ニーズの分析、営業方針、新規取引や値上げの見込みなどの根拠とともに、補助事業による定量的成果を計画書へ記載する必要があります。

たとえば「ホームページを作れば問い合わせが増えるはず」という説明だけでは不十分です。現在のアクセス数、問い合わせ率、成約率、平均単価を確認し、改修と広告によって何を改善し、何件の問い合わせ・成約、いくらの売上・売上総利益を見込むのかを組み立てます。

店舗改装なら、席数、回転率、客単価、稼働日数、新サービスの粗利率などから、終了時と報告時の数値を推計します。設備導入なら、生産能力、不良率、作業時間、受注可能件数、単価・原価の変化を使って説明します。

売上だけではなく売上総利益も見る点が重要です。値引きや広告費を増やして売上が伸びても、粗利益が残らなければ持続的な成果になりません。見込みは過度に楽観的にせず、計算式と前提を示し、実施後に追跡できる指標にします。

新商品開発費は市場調査・テストマーケティングとの接続が必要

第20回では、新商品開発費について、テストマーケティング・市場調査の結果を踏まえた開発、またはそれらを伴う開発であることが求められます。

「新しい商品を試作する」だけで終わらず、誰に、どの価格で、どの販売方法なら売れるのかを検証する必要があります。未実施なら、補助事業の中でテスト販売、アンケート、試食会、商談、既存顧客へのヒアリングなどを計画し、実績報告時に結果を説明できるようにします。

市場調査の方法は、商品と顧客に合っていることが大切です。少数の関係者へ感想を聞くだけで市場性を断定せず、対象者、質問項目、件数、結果、結果を受けて変更した内容を記録します。試作品の材料費や外注費を計上する場合も、開発工程と需要検証の関係を計画書で示しましょう。

第20回へ向けた申請準備チェックリスト

第20回の変更点を踏まえると、従来より前倒しでの準備が必要です。

賃金引上げ特例を検討する事業者

  • 過去12か月以上の賃金台帳が全従業員分揃っているか
  • 雇用契約書・労働条件通知書と実際の勤務条件が一致しているか
  • 給与支給総額に含める費用と除く費用を分けられるか
  • パートタイム従業員の所定労働時間を確認できるか
  • 採用・退職・休業・時短勤務の見込みを反映したか
  • 賞与・残業代の変動を含めても3%以上を達成できるか
  • 賃上げ後の人件費を継続できる利益・資金繰りがあるか
  • 採択後の表明と書類提出を担当する人を決めたか

広告・ホームページを計画する事業者

  • SNS広告、ネット広告を広報費へ区分しているか
  • 自社サイト制作・改修をウェブサイト関連費へ区分しているか
  • 写真・動画の使用先に応じて区分を説明できるか
  • 広報費とウェブサイト関連費の補助金額が各30万円以内か
  • 全体の補助上限と補助率も同時に確認したか
  • 広報費またはウェブサイト関連費だけの申請になっていないか
  • 見積書、契約書、請求書、成果物の内訳が一致するか
  • 広告から問い合わせ・購入までの導線と数値目標があるか

設備・工事・外注を計画する事業者

  • 1件あたりの発注総額が税込50万円を超えるか
  • 2者以上から同等仕様の見積を取得できるか
  • 安価でない発注先を選ぶ必要がある場合、その理由を説明できるか
  • 随意契約が必要なら客観的な理由と資料を準備できるか
  • 中古品の場合、金額にかかわらず中古品販売事業者2者の見積があるか
  • 発注・契約・支払を交付決定前に行っていないか

過去に採択された事業者

  • 過去の公募回と事業名を確認したか
  • 補助事業実施期間の終了日を確認したか
  • 様式第14の提出を完了しているか
  • 事務局から指摘された不備が解消しているか
  • 第20回で採択された後の次回申請制限を理解しているか

よくある質問

第20回の賃金引上げ特例は、最低時給を50円上げても利用できますか?

最低時給を50円上げただけでは、第20回の要件を満たしたことになりません。第20回では、補助事業実施期限日の2028年3月31日を基準に、次の二つの期間を比較します。

  • 賃上げ前の基準期間:2026年4月1日~2027年3月31日
  • 賃上げ後の比較期間:2027年4月1日~2028年3月31日

この2年間について、対象となる従業員の給与、賃金、残業代、賞与等を集計し、従業員数で割った「1人あたり給与支給総額」が3.0%以上増えているかを確認します。

たとえば、2026年4月から2027年3月までの1人あたり給与支給総額が300万円だった場合、2027年4月から2028年3月までは309万円以上が必要です。

300万円 × 1.03 = 309万円

事業場で最も時給の低い従業員だけを、2027年4月から時給1,100円から1,150円へ50円引き上げても、他の従業員の給与、残業代、賞与、対象人数の変動を含めた1人あたり給与支給総額が309万円へ届かなければ、第20回の賃金引上げ特例の要件は満たしません。

反対に、最低時給の引上げ額が50円という第19回の基準をそのまま使うのではなく、会社全体の対象従業員について、指定された12か月間の数値を計算する必要があります。なお、各月に支払う賃金は地域別最低賃金以上でなければならず、最低賃金法上の適法性はこの3%要件とは別に満たす必要があります。

全従業員の基本給を3%上げれば確実ですか?

確実とはいえません。給与支給総額には残業代や賞与等も含まれ、従業員数はパート換算や在籍状況の影響を受けます。残業・賞与の減少や対象者の変動によって、基本給を3%上げても指標が3%へ届かない可能性があります。実際のデータで試算してください。

第20回ではウェブサイト制作に30万円まで使えますか?

30万円はウェブサイト関連費に係る補助金交付申請額の上限です。制作会社への支払額そのものの上限ではありません。また、補助率、全体上限、対象外経費、消費税の扱いを確認し、他の経費と組み合わせる必要があります。

SNS広告とホームページ改修を両方申請できますか?

対象要件を満たせば、SNS広告を広報費、ホームページ改修をウェブサイト関連費として整理することが考えられます。各区分30万円の上限と全体上限を確認し、見積・契約・成果物の内訳を分けてください。

50万円の設備なら相見積は不要ですか?

第20回の一般ルールは発注総額1件あたり50万円超(税込)です。ただし、50万円以下でも価格の妥当性を示す見積書等は必要です。中古品は金額を問わず2者以上の見積が必要です。形式的な分割発注も避けてください。

過去に採択されたら、報告書提出後さらに1年待つのですか?

申請する回と過去の採択回を分けて確認する必要があります。第20回へ申請する過去採択者には、従来からの所定期間経過と報告完了の条件があります。これとは別に、第20回で採択・実施した事業者が、その後に再申請する場合は、報告完了後さらに1年経過する旨が追加されています。一律に入金日や採択日から数えるものではありません。

近年の持続化補助金は、GビズID(法人・個人事業主が複数の行政サービスへログインするための共通認証アカウント)を使用したオンライン申請が中心です。オンラインで申請した事業者には、事業効果および賃金引上げ等状況報告の提出時期になると、補助金事務局から申請時に登録したメールアドレスへ案内メールが届きます。メールに記載された案内を確認し、電子申請システムから所定の報告を提出してください。

登録メールアドレスを変更した、担当者が退職した、迷惑メールフォルダへ振り分けられたといった事情で、通知を確認できない場合があります。過去に採択された事業者は、通知メールだけを待つのではなく、次の項目も確認しておくことをおすすめします。

  • GビズIDへ登録しているメールアドレスが現在も使用できるか
  • 補助金の電子申請システムへログインできるか
  • 過去の採択事業がマイページへ表示されているか
  • 事業効果および賃金引上げ等状況報告が「提出済み」「完了」になっているか
  • 事務局から修正や追加資料の依頼が届いていないか

メールを受信しただけでは、報告が完了したことにはなりません。電子申請システムから報告内容を入力し、必要な資料を添付して提出したうえで、不備や差戻しが解消されていることまで確認してください。再申請を予定している場合は、提出日と完了状況が分かる画面や通知を保存しておくと、申請可能時期を確認しやすくなります。

採択通知が来たら広告や改装を発注できますか?

できません。採択通知が発行された後は、交付申請の手続へ移ります。採択通知は「審査の結果、採択されたこと」を知らせるもので、補助対象経費の発注を開始してよいという通知ではありません。

採択後から発注できるようになるまでの基本的な流れは、次のとおりです。

  1. 採択通知が発行される。
  2. 見積書、相見積、仕様書、経費の内訳などを提出して交付申請を行う。
  3. 補助金事務局が経費の対象性、価格の妥当性、発注内容などを確認する。
  4. 申請書類や雇用関係書類などに不備があれば、修正・追加提出を行う。
  5. 確認が完了すると交付決定通知が発行される。
  6. 交付決定日以降、補助事業期間に入り、対象となる発注・契約・支出が可能になる。

交付申請では、主に計上した経費の見積書、50万円超の発注に必要となる相見積、導入する設備や工事の内容が分かる仕様書などを提出します。見積書に複数の項目が含まれている場合は、作業内容や単価が分かる内訳も必要です。

また、賃金引上げ特例を利用する場合などは、採択後交付決定までに賃金台帳や雇用条件が分かる書類を提出します。申請時・採択後の確認で雇用関係書類の不足や内容の不一致が見つかった場合は、その不備を解消しなければ交付決定へ進めないことがあります。

公募要領では、採択後に詳細な見積書等を速やかに提出した場合でも、交付決定まで採択発表からおおむね1~2か月かかる場合があると案内されています。これは目安であり、提出時期、書類の不備、経費の内容、事務局の確認状況によって期間は変わります。

採択後すぐに見積書・仕様書などを提出でき、修正や追加資料へ速やかに対応できれば、交付決定までの遅れを抑えやすくなります。反対に、採択後に初めて見積を依頼したり、仕様を決め直したりすると、交付決定が遅れ、その分だけ実際に事業を行える期間が短くなります。

原則として、補助対象経費の発注・契約・支出は交付決定日以降に行います。交付決定前に広告会社へ正式発注したり、改装工事の契約を締結したり、設備を購入したりすると、その経費は原則として補助対象外です。採択通知と交付決定通知は別のものとして、必ず交付決定日を確認してから発注してください。

第20回の変更は、申請書だけでなく事業運営の準備を求めている

第20回の変更点を通して見えるのは、申請時の作文だけでなく、採択後から事業効果報告まで継続して数字と証拠を管理することが重視されている点です。

賃金引上げ特例では、年間の給与支給総額と従業員数を管理し、目標を表明して達成しなければなりません。広告・ウェブ施策では、媒体と制作物の用途を分け、区分別上限の中で売上へつながる導線を示します。設備や外注では、50万円超から相見積を用意し、価格と選定理由を説明します。過去採択者は、終了後の報告と次回申請時期まで管理します。

補助金額を最大化することだけを目的に特例や経費を選ぶと、採択後に要件を満たせなくなるおそれがあります。まず、自社が実行したい販路開拓と、終了後も続けられる投資・賃上げを決め、その計画に合う範囲で補助金を使うことが大切です。

持続化補助金を検討している事業者の方へ

行政書士法人奈良総合事務所では、奈良県を中心に、全国の事業者から小規模事業者持続化補助金のご相談をオンラインで受け付けています。

第20回では、賃金引上げ特例を使うかどうか、広告とウェブ制作をどの区分へ整理するか、50万円超の発注に相見積を用意できるか、過去採択から再申請できる時期に達しているかを、申請前に確認することが重要です。

弊事務所では、初回相談から見積提示、申請計画の整理、書類収集・作成、電子申請、採択後の交付申請、補助事業実施中の手続、実績報告、補助金入金、入金後の事業効果報告まで、一貫した支援が可能です。

「第19回との違いが自社へどう影響するのか」「賃金引上げ特例を選んでも安全か」「SNS広告とホームページ改修をどのように組み合わせるか」といった段階からご相談ください。

制度へ事業を無理に合わせるのではなく、投資目的、売上・利益の見込み、実行スケジュールを確認したうえで申請方針を整理します。

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