建設業許可は法人だけの制度ではありません。個人事業主や一人親方でも、経営管理、技術者、財産的基礎などの条件を満たせば取得を検討できます。従業員が多いことより、事業主自身や配置する人が必要な役割を担えるかが重要です。
個人事業主が最初に確認すること
長年現場で工事をしてきた経験と、事業を経営してきた経験は、許可では別の観点から確認します。会社員として施工に従事した期間が、そのまま個人事業の経営期間になるわけではありません。
一方、技術者の実務経験は独立前の勤務先での経験も検討対象になります。いつ、どこで、どの業種の施工に従事し、何の資料で確認できるかを年表にすると整理しやすくなります。
事業主が二つの役割を兼ねる場合
事業主が経営管理を担い、同じ主たる営業所で営業所技術者等(建設業の営業所で、請負契約の技術面を担う常勤の技術者)の役割も担うことは、両方の要件を満たす場合に検討できます。資格・経験だけでなく、その営業所で常勤できることが必要です。
別会社で常勤している、常に離れた現場に配置されるなどの事情がある場合は、営業所での職務と両立するかを確認します。「自分の事業だから常勤性の説明は不要」とはなりません。
個人事業の経験を整理する資料
表はスマートフォンで横にスクロールできます。
| 整理する事実 | 主な確認資料の例 |
|---|---|
| 建設業を営んだ期間 | 確定申告書、工事契約書等 |
| 実際に行った工事 | 注文書、請求書、入金を確認できる記録等 |
| 取得している資格 | 合格証明書・免許証等 |
| 営業所の使用 | 賃貸借契約、使用承諾、営業所写真等 |
| 財産の状況 | 決算資料、必要に応じ残高証明書等 |
この表は準備の目安です。どの要件をどの経路で満たすかによって提出する組合せは変わります。確定申告書だけでは工事内容が分からない場合、契約関係の資料等とあわせて説明します。
資本金がなくても財産要件を確認できる
個人事業には法人のような資本金がありません。それでも一般建設業許可(発注者から直接請け負った工事で大規模な下請契約を結ばない場合の建設業許可)では、自己資本や資金調達能力などの基準によって財産的基礎を判定します。「資本金がないから取れない」と判断する必要はありません。
ただし、個人の財産評価の考え方は法人の決算書と同じではありません。事業用資金や決算資料を確認し、残高証明による場合は基準日と申請予定日を調整しましょう。
自宅を営業所にする場合
自宅であることだけで直ちに不可となるわけではありませんが、建設業の営業所としての実態、居住部分との区分、契約事務を行える環境、使用権限などが問われます。住所だけを登録する場所とは区別されます。
写真を撮る前に、机、電話等の業務環境や名称の表示を確認します。賃貸住宅の場合は契約上の使用目的や承諾が必要かも確認してください。
個人で取るか、法人化してから取るか
近いうちに法人成りを予定しているなら、許可の申請時期とあわせて考えます。個人の許可は法人を設立しただけで自動的に移りません。承継認可や新規申請などの手続を検討する必要があります。
当面個人で事業を続けるのか、法人として契約を受ける予定があるのかを先に決めると、二度手間を避けやすくなります。
よくあるご質問
従業員がいなくても取得できますか?
必要な役割を事業主自身が担い、その他の許可要件も満たす場合は検討できます。ただし、社会保険の適用関係や現場の技術者配置は別途確認が必要です。
確定申告書が残っていない年があります。
税務関係の控えや過去の取引資料について、どこまで確認できるかを整理してください。資料の不足を事実と異なる書類で補うことはできません。使用できる資料を個別に検討します。
