行政書士法人奈良総合事務所
補助金

チラシ・SNS広告に補助金を使うには?持続化補助金第20回の予算と計画の立て方

持続化補助金第20回で広告を検討するときは、広告媒体を選ぶことに加え、経費の組み合わせと補助金額の上限を確認する必要があります。第20回では広報費だけの申請ができず、広報費の補助金交付申請額は30万円(税込)が上限です。

この記事では、広告の取組を事業計画と予算に落とし込む方法を解説します。改正の詳細は、第19回と第20回の広告費比較をご覧ください。

最初に決めるのは媒体ではなく販売の目的

「SNS(インターネット上で利用者同士が情報を発信・交流するサービス)広告が流行っているから」「チラシを配れば売れそうだから」だけでは、投資の必要性を説明しにくくなります。まず売りたい商品・サービスと対象顧客を決め、その顧客がどのように情報を知り、購入を判断するかを整理します。

たとえば近隣向けのサービスなら、対象エリアや利用する場面を考えます。法人向けなら、担当者が抱える課題と問い合わせのきっかけを考えます。同じ広告費でも、顧客によって媒体、表現、申込先の整え方は異なります。

公募要領(補助金の対象者、経費、期限、申請方法などを定めた公式ルール)が求めるのは経営計画に基づく商品・サービスの広報です。単なる会社PRや求人広告は対象外です。広告の中に商品名を入れるだけでなく、販路開拓の目的と内容が一致しているかを確認します。

チラシ・SNS広告・サイト制作を分けて見積もる

内容 第20回で確認する区分
チラシのデザイン・印刷・配布等 広報費
インターネット広告・SNS広告、運用代行 広報費
自社サイトやECサイトの制作・改修 ウェブサイト関連費
自社サイトで使用する写真・動画の制作 ウェブサイト関連費

広告会社への依頼が「集客支援一式」でも、補助金の経費区分は一つとは限りません。作業を分け、金額と成果物、実施期間が分かる見積もりに整理します。目的や作業内容が曖昧な費用は、そのまま申請額に入れないでください。

第19回ではインターネット広告等がウェブサイト関連費でしたが、第20回では広報費に移っています。前回の見積もりや申請書を利用する場合も、分類から見直す必要があります。

30万円は広告費ではなく補助金額の上限

基本補助率は2/3、全体の基本上限は50万円です。しかし広報費には別に補助金交付申請額30万円(税込)の上限があります。特例で全体の上限が増えても、広報費の区分別上限は確認が必要です。

以下は課税事業者が税抜経費で申請する場合の計算例です。経費の適格性を満たし、基本補助率2/3で計算する前提としています。

想定経費 2/3の計算結果 確認点
広報費30万円 20万円 単独では申請できない
広報費45万円 30万円 区分別の補助金額上限に達する
広報費60万円 40万円 計算結果は40万円でも広報費の上限は30万円

60万円の広告を予定する場合、単純に2/3の40万円を申請できるわけではありません。対象外費用、消費税の取扱い、全体の申請額なども含めて、実際の自己負担を計算します。

他の経費は、事業に本当に必要なものを組み合わせる

広報費だけの申請を避けるために、使う予定のない設備や不要な工事を追加する考え方はおすすめできません。販路開拓の取組全体で、何を整える必要があるかを考えます。

たとえば新しい商品を広告で紹介する場合、その商品の販売に必要な設備等が対象として検討できることがあります。ただし、設備の種類、汎用性、用途などにより対象外となるものもあるため、個別に確認します。

広告と自社サイト制作を組み合わせる場合も、サイト制作が必要な理由、公開時期、広告から購入までの導線を説明します。広報費・ウェブサイト関連費のそれぞれの上限と、単独申請禁止の条件を踏まえて、取組全体を整理してください。

広告の成果をどう考えるか

認知から購入までの接点を整理する

広告の表示回数だけでなく、広告を見た人が訪れるページ、問い合わせ方法、店舗で購入できる商品などを確認します。広告が届いても、価格や申込方法が分からなければ販売につながりにくくなります。

根拠のある目標を置く

現在の問い合わせ件数、来店数、成約率などを確認し、施策で何を変えたいかを考えます。数値は採択のために大きく作るのではなく、実績や施策の規模から説明できる範囲で設定します。

実施後に振り返れる資料を残す

媒体別の掲載期間や配信結果、問い合わせ件数等を整理しておくと、事業の振り返りに役立ちます。補助金の報告に必要な資料は、公開される手引き等に沿って準備してください。

広告会社との契約前に決めたいこと

  • 成果物、広告媒体、配信・配布期間、費用の内訳。
  • 広告の目的と対象顧客、問い合わせ・購入先。
  • 交付決定後まで正式な契約・発注を待てるか。
  • 期間内に制作だけでなく掲載・配布まで完了できるか。
  • 実施内容や支払いを確認できる資料を受け取れるか。
  • 計画変更が必要な場合の連絡・確認方法。

原則として交付決定(採択後の経費確認を経て、補助事業へ着手できることを事務局が正式に決めること)前の契約・発注・支払いは対象外です。採択通知だけで発注しないでください。第20回の採択発表は2027年3月頃の予定で、交付決定までさらに概ね1~2か月かかる場合があります。

チラシの未配布・未使用分は対象外です。配信契約が補助事業実施期間をまたぐ場合も、対象期間の確認が必要です。「作った」「契約した」だけで終わらせず、実際の販路開拓の実施まで管理します。

第20回は売上高・売上総利益の増加見込みも具体的に

第20回では、事業効果および賃金引上げ等状況報告書を提出する時点の売上高・売上総利益が、補助事業終了時と比べて増加することが見込める事業であることが、対象事業の要件に追加されています。

申請時には、客観的な市場・顧客ニーズの情報や営業方針等を根拠に、売上高・売上総利益の増加という定量的成果を計画書に記載する必要があります。問い合わせ数や来店数の目標だけでなく、販売単価、販売件数、原価等を整理し、売上と売上総利益へどうつながるかを説明します。

数字を大きくすることが目的ではありません。現在の実績と施策の規模から説明できる見込みを考えます。取得した資産を補助事業終了後も継続して使い、事業に役立てることも審査の観点に追加されています。

よくあるご質問

広報費30万円上限なら、広告は45万円までですか?

基本補助率2/3で税抜45万円なら補助金額は30万円になる計算です。ただし、発注費の上限が45万円という意味ではありません。予算を超えて実施する場合は、その分の自己負担も確認してください。

広告費の上限はサイト制作と共通ですか?

第20回では広報費とウェブサイト関連費それぞれに補助金交付申請額30万円(税込)の上限があります。さらに全体の補助上限も適用されます。

補助金が不採択なら、広告の実施を取りやめられますか?

事業者の判断と契約条件によります。そもそも補助対象となる正式な発注・契約は交付決定後に行うことが原則です。準備段階でも費用が発生する契約には注意してください。

※本記事は2026年9月18日時点の第20回公募要領(第8版)に基づく解説です。

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