新サービスのチラシを配りたい、SNS(インターネット上で利用者同士が情報を発信・交流するサービス)広告で新しいお客様に知ってもらいたい。広告に使える補助金を探している小規模事業者にとって、持続化補助金第20回は検討できる制度の一つです。
ただし、「広告なら何でも対象」「広告費だけで申請できる」という制度ではありません。特に第20回では、広報費だけの申請が認められず、広報費の補助金交付申請額は30万円(税込)が上限です。広告制作を依頼する前に確認したい条件を解説します。
第20回から何が変わった?広告費の改正を比較
第19回と第20回の公募要領(補助金の対象者、経費、期限、申請方法などを定めた公式ルール)を比べると、広報費には新しい制限が追加されています。広告を中心に申請したい事業者にとっては、使い方が厳しくなった改正といえます。
| 比較項目 | 第19回 | 第20回 |
|---|---|---|
| 広報費だけの申請 | 広報費の区分に単独申請を禁止する規定なし | 広報費だけの申請は不可 |
| 広報費の区分別上限 | 広報費独自の30万円上限なし。全体の補助上限等は適用 | 補助金交付申請額30万円(税込)が上限 |
| インターネット・SNS広告、運用代行 | ウェブサイト関連費に計上 | 広報費に計上 |
| ウェブサイト関連費だけの申請 | 不可 | 不可 |
| ウェブサイト関連費の上限 | 補助金交付申請額の1/4、最大50万円 | 補助金交付申請額30万円(税込) |
「第19回までは広告に規制がなかった」という説明は、紙の広告等の広報費に今回の二つの制限がなかったという意味では当てはまります。ただし、広告目的の条件や交付決定(採択後の経費確認を経て、補助事業へ着手できることを事務局が正式に決めること)前の発注禁止などは従来からあり、インターネット広告等が入るウェブサイト関連費にも制限がありました。
なぜ「改悪?」と感じる事業者がいるのか
チラシ等の広報費だけで販路開拓を計画していた事業者は、第20回の単独申請禁止によって、そのままの計画では申請できなくなります。特例で全体の上限が高くなっても、広報費の上限は別に確認する必要があります。
この意味では、広告を中心に活用したい事業者にとって負担が増える変更です。ただし、制度全体がすべて不利になったと断定できるものではありません。ウェブサイト関連費は全体申請額の1/4という制限から固定の30万円上限へ変わり、以前より計上しやすくなるケースもあります。
たとえば全体の補助金申請額50万円を前提にすると、第19回のウェブサイト関連費は12万5,000円まででした。第20回は区分の上限が30万円となるため、他の条件を満たす計画なら、ウェブ制作等への配分を増やせる可能性があります。変更の影響は、紙の広告、ネット広告、サイト制作を分けて検討しましょう。
対象になる広告は、商品・サービスの販路開拓につながるもの
広報費は、経営計画に基づいて商品やサービスを広く知らせ、販路開拓につなげるための経費です。パンフレット、ポスター、チラシ、インターネット広告、SNS広告などが対象として示されています。
たとえば「新しいテイクアウト商品を近隣のお客様に知らせる」「法人向けの新サービスを必要な企業へ届ける」といった目的が考えられます。何を販売し、誰に届け、問い合わせや購入につなげるかを明確にしましょう。
一方、会社そのものの知名度を上げるだけのPR、会社案内、求人広告は対象になりません。名刺の作成も対象外です。広告の名称より、その中身と目的が重要です。
チラシ・SNS広告・ホームページの経費区分
| 検討する内容 | 主に確認する区分・注意点 |
|---|---|
| 商品・サービスのチラシ、ポスター | 広報費。配布・使用まで期間内に行う |
| インターネット広告・SNS広告 | 広報費。広告運用代行の費用も広報費として確認 |
| 自社ホームページ・ECサイトの制作や改修 | ウェブサイト関連費 |
| 自社サイトで使用する写真・動画の制作 | ウェブサイト関連費として確認 |
| 会社のPRだけの広告・求人広告 | 補助対象外 |
SNS広告だからウェブサイト関連費、という区分ではありません。第20回の公募要領では、インターネット広告・SNS広告等は広報費です。広告とサイト制作を一緒に依頼する場合は、見積書でも内容を分け、どの費用がどの区分に該当するか確認します。
制作費一式という見積もりでは、作業の内容や価格を確認しにくくなります。デザイン、印刷、配布、広告配信、運用などの内訳を整理しておくと、申請後の確認にも対応しやすくなります。
第20回は広告費だけで申請できない
広報費のみによる申請はできません。必ずほかの経費と一緒に申請する必要があります。 また、ウェブサイト関連費だけの申請もできません。
組み合わせる経費は、補助金を受けるために形式的に追加するものではなく、販路開拓の計画に本当に必要なものを検討します。たとえば広告で紹介する新商品の販売体制を整える投資など、取組全体として一貫した説明が必要です。個別の設備や工事が対象になるかは、それぞれの条件を確認します。
広告だけを予定している場合は、この制度の条件に合うかを先に整理しましょう。「他にも何か買えばよい」と考えて不要な出費を増やすのは避けたいところです。
広報費とウェブサイト関連費の上限はそれぞれ30万円
第20回では、広報費の補助金交付申請額の上限は30万円(税込)です。ウェブサイト関連費にも、別に補助金交付申請額30万円(税込)の上限があります。
この30万円は、広告の発注金額そのものの上限ではありません。補助対象経費(補助金の計算対象として公募要領で認められた支出)に補助率を掛けて算出する補助金額側の上限です。基本補助率は2/3、全体の基本上限は50万円ですが、全体の上限だけを見て広告費を組むことはできません。
費用を組み立てる際の計算例
課税事業者が税抜金額で申請する例として、対象となる広告費45万円の2/3は30万円です。さらに計画上必要で、対象となる別区分の経費30万円を組み合わせれば、その2/3は20万円で、合計50万円になります。
これは区分別・全体の上限を説明する計算例です。組み合わせた経費の適格性、特例、消費税の取扱い等により実際の申請額は変わります。見積もりを取得した段階で、区分ごとに計算することが大切です。
広告の計画書に入れたい四つの要素
- 現状の課題:新商品が知られていない、問い合わせが少ないなど。
- 届ける相手:商圏、顧客層、購入する場面を具体化する。
- 広告の内容と導線:商品・サービスの魅力と、来店・問い合わせ・購入につながる方法。
- 実施後の確認:問い合わせ件数や来店数など、成果を振り返る指標。
たとえばSNSの表示回数だけを目標にすると、その先の販売とのつながりが見えにくくなります。広告を見た人がどこへ進み、何を申し込むのかまで考えておくと、事業としての説明が具体的になります。
この四つは計画整理の視点であり、採択を保証する条件ではありません。事業者自身が考える計画を、現状や見積もりと整合させていきます。
制作・配信の時期と証拠資料も確認する
原則として交付決定前の発注・契約・支払いは対象外です。採択通知を受けても、すぐに広告会社へ正式発注することはできません。第20回の採択発表は2027年3月頃の予定ですから、2026年中のキャンペーンに使う前提で契約しないよう注意してください。
チラシは作っただけでなく、期間内に配布・使用することが必要です。未配布・未使用の分は対象になりません。広告掲載も補助事業実施期間内に行う必要があります。
実務上は、掲載した広告、配布物、配信期間や実績が分かる資料を保存しておくと、実施内容の確認に役立ちます。必要な証拠書類は、公開される補助事業の手引き等に沿って準備します。
よくあるご質問
SNS広告の運用を外注しても検討できますか?
商品・サービスの販路開拓に関する広告運用代行の経費は、広報費として確認します。契約内容、作業の内訳、配信期間、申請額の上限などを確認してください。
ホームページを作るだけの申請はできますか?
ウェブサイト関連費だけでは申請できません。補助金額の上限も30万円(税込)です。第20回の条件で、取組全体と他の経費の必要性を整理します。
広告会社に払う前に申請すればよいですか?
支払いだけでなく、発注・契約の時点にも注意が必要です。交付決定前に正式契約した経費は、支払いが後でも原則対象外となります。
※第19回との比較は第19回公募要領(第6版)も確認しています。本記事は2026年9月18日時点の第20回公募要領(第8版)に基づく解説です。
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