自己商標酒類卸売業免許(酒類販売業者などへ酒類を継続して販売するための免許)は、自ら開発した商標または銘柄の酒類を卸売するための免許です。酒蔵へ製造委託したOEM(他社ブランドの商品を、委託を受けた製造者が生産する方式)・プライベートブランド酒を、酒販店などへ卸したい事業者が検討する代表的な区分です。
この記事で分かること
- 自己商標酒類卸売業免許で認められる販売の範囲
- 他の酒類卸売業免許との違い
- 申請前に整理する取引・販売計画
- 審査で確認される要件と必要資料
「自ら開発した商標・銘柄」を示す
ラベル、商品企画書、製造委託契約、商標登録資料、開発経緯などから、自社が開発したブランドであることを説明します。商標登録が必須と一律に決まるわけではありませんが、登録がない場合も事実関係を具体的に確認されます。
販売できる商品は自己商標酒に限られる
委託製造者の既存銘柄や、他社ブランドの商品を仕入れて一緒に卸すことは、この免許の範囲外です。複数ブランドや輸入商品を扱う場合は、商品ごとに必要区分を確認します。
OEM契約と商流を一致させる
原料提供、レシピ、ラベル、最低製造数量、商品所有権、品質事故、在庫、返品、酒税(酒類の製造場からの移出や輸入の際に課される国税)負担を契約で整理します。製造場から販売場、酒販店への商品移動と請求の流れを申請資料へ反映します。
酒類卸売業免許に共通する審査のポイント
酒類卸売業免許は販売場ごとに申請します。主に、申請者・法人役員等が欠格事由(法律上、許可や免許を受けられない条件)に該当しないかという人的要件、製造場・販売場等と明確に区分されるかという場所的要件、資金・財務・経験・設備・取引関係から継続して事業を行えるかという経営基礎要件、免許区分に応じた需給調整要件が審査されます。
申請では、仕入先と販売先、取り扱う品目、販売数量、価格、物流、代金決済、在庫、帳簿の管理を一つの事業計画として説明します。仕入先・販売先の取引承諾書、販売場の図面、賃貸借契約、決算書、資金資料、収支見込みなどを整えます。
申請から免許取得までの流れ
- 商品、仕入先、販売先、物流と代金の流れを整理する
- 八つの区分から必要な卸売業免許を特定する
- 販売場、財務、資金、経験・能力を確認する
- 取引承諾書、図面、事業計画、申請書類を作成する
- 販売場所在地の所轄税務署へ申請する
- 税務署の照会、補正、現地確認等へ対応する
- 登録免許税を納付し、免許通知書と条件を確認する
全酒類卸売業免許とビール卸売業免許は、公告された申請期間、公開抽選、審査順位、免許可能件数に関する固有の手続があります。他の区分は原則として申請順に審査されます。標準処理期間は区分や審査開始時点によって確認が必要で、補正等に要する期間は含まれません。
申請時に準備する主な資料
| 資料 | 確認される内容 |
|---|---|
| 仕入先・販売先の取引承諾書 | 誰から何を仕入れ、誰へどれだけ販売するか |
| 商品一覧・販売数量計画 | 品目、容器、単価、年間数量が免許区分と合うか |
| 販売場・倉庫の図面 | 事務所、保管場所、引渡場所が独立して管理できるか |
| 賃貸借契約書・使用承諾書 | 申請者が販売場を継続して使用できるか |
| 収支見込み・資金計画 | 仕入代金、在庫、運転資金を賄えるか |
| 法人・納税・決算関係資料 | 人的要件と経営基礎要件を満たすか |
| 組織図・業務フロー | 受注、仕入、保管、出荷、請求、記帳の担当が明確か |
提出資料は申請者や販売場の状況によって異なります。新設法人、赤字・債務超過がある法人、酒類事業の経験が少ない申請者は、資金の裏付けや経験を補う体制をより具体的に説明します。
審査中に追加説明が生じやすいポイント
- 申請する免許区分と商品の酒税法上の品目が一致していない
- 販売先が消費者・飲食店なのか、酒販店・製造者なのか曖昧
- 取引承諾書の数量と収支計画の数量・金額が合っていない
- 受注場所、帳簿を置く場所、在庫倉庫、商品引渡場所の関係が不明
- 商品を先に仕入れる計画になっており、免許取得前の販売準備との区別が不明
- 運転資金に対して予定在庫や売掛期間が大きすぎる
- 小売業と卸売業を兼営する場合の在庫・帳簿・販売方法の区分がない
審査では書類の枚数より、各資料が同じ商流を説明していることが重要です。商品一つを例に、仕入先から販売先までの商品・代金・伝票の流れを図にすると、不一致を発見しやすくなります。
初回相談までに決めておきたいこと
- 取り扱う商品の銘柄と酒税法上の品目
- 商品ごとの仕入先、販売先と双方の免許内容
- 年間の仕入・販売数量、仕入価格、卸売価格
- 受注、保管、出荷、請求、代金回収の方法
- 販売場と倉庫の所在地、使用権限、区画
- 免許取得後に販売を開始したい時期
- 小売、EC、輸出入、OEMなど併せて行う事業
よくあるご質問
小売業免許があれば酒販店へ卸売できますか?
できません。酒販店や酒類製造者が再販売・製造のために仕入れる取引は卸売に当たり、取引内容に合う酒類卸売業免許が必要です。
免許を取ればすべての酒類を卸売できますか?
免許区分と付された条件の範囲に限られます。商品、仕入方法、販売先が変わる場合は、条件緩和や別区分の免許が必要か事前に確認します。
奈良県外から申請支援を依頼できますか?
はい。行政書士法人奈良総合事務所は酒類免許申請を全国対応しています。オンライン面談を中心に、販売場所在地、商流、取引予定を確認して準備します。
酒類卸売業免許の区分選びからご相談ください
行政書士法人奈良総合事務所では、販売する商品と相手方、商流に合う免許区分の整理から、取引関係資料、事業計画、図面、申請書の作成、税務署への申請まで支援します。奈良県内に限らず、全国の酒類事業者からオンラインでご相談いただけます。
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